二次創作小説(新・総合)

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敵中横断二九六千光年
日時: 2019/04/20 12:00
名前: 島田イスケ

個人リメイクによるオリジナルとは別の『ヤマト・イスカンダル編』。
古代進が最初は貨物輸送機のパイロットとして登場します。武装のない輸送機でサーシャを追うガミラスと遭遇、危機を切り抜けカプセルをヤマトに届けるという展開です。

この作では〈人類滅亡まで一年〉の定義を『最後のひとりが死ぬとき』でなく『すべての女が子を産めなくなるとき』及び『すべての子供が白血病に侵されるとき』であり、そのリミットが共にあと一年であるとします。ヤマトが九ヶ月で帰還できるならまだ生きている人のほとんどを救えるのですが、しかし一日遅れるごとに十万の子が病に倒れ、百万の女が出産不能になる設定です。ゆえにヤマトはこの作では、子を救うための船としてイスカンダルを目指します。

なお、同じ作品を二次小説サイト〈ハーメルン〉と〈2.novelist.〉にも投稿しています。

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Re: 来襲 ( No.16 )
日時: 2019/05/31 19:34
名前: 島田イスケ

「コー・フク! コー・フク! コー・フク! コー・フク!」

「コー・フク! コー・フク! コー・フク! コー・フク!」

降伏降伏と叫ぶ暴徒がまわりを囲む地球防衛軍司令部。鎮圧は続いているが人の津波が治まる気配はなさそうだった。《NO MORE WAR》の札を掲げて後から後から湧いて押し寄せてくる。

「〈ヤマト〉なる船の発進をやめよーっ! いつまで無駄な抵抗を続けるーっ!」

「絶滅が確定してからでは遅ーいっ! 女が子を産めるうちに降伏をーっ!」

てんでんに声をらしてわめきたてる。この者達は狂人に他ならないが、子を持つ親が何割か含まれているに違いなかった。このままではあと一年で自分の子が白血病に侵される。自分より自分の子が先に死ぬ。それが確実であるという事実が彼らを狂わせるのだ。ゆえに、この者達に理を説くのは無駄だった。それどころか、降伏すればガミラスは青い地球を返してくれる。なぜなら〈彼ら〉は本当はいい宇宙人なのだから、悪いようにするはずがない、などいう考えさえ信じ込むようになっている。

しかし狂える者らの叫びは、中にいる者達にはまったく届いていなかった。より深い地下に置かれたぶ厚い扉の奥の防衛指揮所では、部屋の中央のプロジェクターが映し出す地球と月の立体映像に人の視線が集まっていた。十人からのオペレーターが忙しく手を動かしている。

ひとりが言った。「望遠で捉えました。映像出します」

ウインドウが開いて平面映像を出した。十字型のガミラス艦が宇宙にある。脚の足りないヒトデといった外観だ。

「四百メートル級の空母です」とオペレーター。

「信じがたいな。たった一隻でやって来たのか」

「こんなデカブツが、それも単艦……」

「無人機以外がここまで地球に近づいた例はありません」

「ガミラスと言えど短時間に易々と船を動かせはしないということではないでしょうか。〈ヤマト〉破壊にすぐ差し向けられるのがこのヒトデだけだったのかも……」

「その後は地球の船に捕まるか、沈められるのも覚悟と言うのか?」

「これだけデカい空母です。捕獲は難しいとは思いますが」

「とにかく、そうまでして〈ヤマト〉を沈めようとする……あの仮説はやはり正しかったのだろうか……」

並ぶ者達がガヤガヤと言う。うちひとりがオペレーターに尋ねた。「迎撃はできんのか?」

「月基地からスクランブルが出ています。しかしかなうものか……」

拿捕だほなど考えなくていい。今は〈ヤマト〉を無事に出すのが先決だ。〈ヤマト〉はまだ動けないのか?」

「急がせてはいるようですが……」

Re: 始動準備 ( No.17 )
日時: 2019/06/09 08:24
名前: 島田イスケ

「真田副長兼技師長。アナタノ仕事ヲ増ヤス代ワリニワタシヲ助手ニ付ケルトノ艦長ノオ言葉デス。ドウゾヨロシクオ願イシマス」

機関室にいる真田の元にアナライザーがやって来て言った。真田はこのポンコツを上から下まで眺めてから、

「お前、あの古代進についてきたやつか?」

「ソウデス」

「ふうん……まあよろしく頼む」

「ドントオ任セアレ」

「さて」

と人間のクルー達に向き直る。今は誰もが通常の船内服に作業用のヘルメットという姿だ。真田も頭にヘルメットを被っている。

「どうやら回転も上がってきたが、最終的な始動は火薬で行う。手順はみんな理解していると思うが」

徳川が言う。「ドカンとやってブルンと始動とは、まるで昔のプロペラ飛行機のエンジンだな」

「原始的ですが他に方法がなかったもので……使う火薬の量はケタ違いですがね。危険な作業でもありますので落ち着いて、慌てず正確に行ってください。特にこの床がこの床ですから、薬筒がどう転がるかわかりません。一発で掛かってくれればいいのですが……」

一同が前にしているのは戦車か何かの大砲の機関部のようなものだった。〈ような〉、ではなく、ほぼ大砲そのものなのだ。巨大な懐中電灯に電池を入れるようにして、一升瓶ほどもある真鍮製の火薬がギッシリ詰まった筒――見た目はまさしくバカでかい拳銃用の薬莢だ――を挿し込んで、尾栓を閉じておいてから横に付いたコードを引く。

するとドカーン! 予備回転を充分に与えた波動エンジンに対してそれを行えば、これをはずみに巨大な船を浮かせるだけのパワーを出して動き始めるというものである。何かしくじればケガ人や死者すら出しかねないのはもちろん、この大砲もどきを壊してエンジン始動がかなわなくなるおそれもあるかなりリスキーなシロモノだった。だがこの他にエンジンを始動させる適当な方法がないのであれば、それが適当な方法なのだ。

「しかし何度も試行せねばならないかもしれん。繰り返すほど事故が起こる率も高まるので、作業はまわりに気をつけながら行ってくれ」

「はい!」

と全員が言った。エンジン始動の準備にかかる。藪助治という機関員が、架台に並んだ真鍮の筒のひとつを両手に持った。重さ5キロはあるだろうそのシロモノを抱えて運ぶ。ただ足下に落としたくらいで暴発するようなものではないが、だからと言って手にして気持ちのいいものでなどあるわけなかった。

一発目をエンジン始動接続器に装填。これで一応始動準備が整った。真田は計器に眼を向ける。回転数の目盛りはまだ低いところを指していて、ジワジワとしか柱を上げようとしていない。

Re: 臨戦 ( No.18 )
日時: 2019/06/14 20:41
名前: 島田イスケ

「真田副長、及び徳川機関長はエンジンから手が離せない。よって今のメンバーで、近づきつつある敵からの防御に臨むことにする」

〈ヤマト〉第一艦橋で沖田は言った。先ほどからの艦橋クルーが立ち上がって彼に向かい、胸に手を当てる敬礼をする。「はい!」

「情報では敵は一隻であるという。だがあなどるな。大型の空母だ。ガミラス艦がここまで地球に近づいたことは前例がない。やつらにしても一隻で地球の船百隻に勝てると思ってないだろう。それを押して来るのには、よほどの理由があるわけだ。このタイミングでというからには、目的はこの〈ヤマト〉を発進前に破壊すること以外には考えられん」

「そこまで〈ヤマト〉に脅威を感じるということは――」新見が言った。「例の仮説はやはり正しいということでしょうか」

「『ガミラスは地球に波動砲があるのを既に知っている。そしてやつらはその完成を恐れている。なぜならやつらは同じものを造ることができないからだ』というやつだな。あるいはそうなのかもしれん」沖田は言った。「十年前に地球がやった実験がガミラスを呼んだのではないか、と……」

Re: 仮説 ( No.19 )
日時: 2019/06/29 21:29
名前: 島田イスケ

『「ガミラスは地球人が波動技術をものにするのを恐れていて、それで攻めてきたのではないか」という話はかなり以前から一部に言われていたことではあるんですね』

とテレビが音声を発しているが、古代は毛布を頭から被りベッドに丸くなっていた。これ以上こんなの見てたら気が狂う。特になんだかややこしそうな話はイヤだ、と思えばこうするしかない。テレビを消してやりたくても、電源スイッチ自体がないのだ。きっとこのためリモコンを持っていかれているのだろう。

『そう――波動理論については、かなり前から発見され研究されていたわけです。宇宙船の床に使われる人工重力にしても、タイムラグなしの長距離通信を可能にする技術にしてもその産物さんぶつなわけですからね。この技術が進んだら光より速く進む船が出来、外宇宙に乗り出していけると期待されてきました。同時に軍事的応用が当然のように考えられ、星をも吹き飛ばせる爆弾か大砲のようなものが造れるだろうと言われました』

聞きたくない聞きたくない。もう勘弁してください。

『むろん軍事利用と言っても、この場合、もしも巨大な隕石が地球に落ちてこようとしたときそれを防ぐ目的で研究されていたわけです――そんな兵器は造ってもさすがに他の使い道はないと考えられましたので。十年ほど前に予備的な実験が行われ、一応の成果を上げました。しかし隕石破壊砲や超光速宇宙船が本当に出来上がるのは何十年も先であろうとも言われました』

おれはこの一日で十年老けちまったよう。あしたまでに老衰で死ぬよう。

『そこにガミラスの出現です。彼らの船が波動エンジンを備えているのは明白でした。そしていきなり遊星をぶつけてくるような手に出ましたが、彼ら自身は決して近くへ寄ってこようとはしない……これはまるで蛇が怖くて遠くから石を投げつける子供です。そこでひとつの仮説が立つことになりました。彼らは彼らの船のエンジンを地球人に調べさすまいとして、そうしているのではないか。ガミラス艦のエンジンを地球が手にして調べたならば、波動技術の開発が一気に進むことになる。もし地球が波動エンジンを持ったなら、自分達より強い船を造ると考えているのではないか……』

わかったからもうCM行ってくれよう。

『ガミラスに波動技術があるのなら、〈波動砲〉とでもいうようなもので地球を一瞬に吹き飛ばすこともできるはずです。エネルギーの源である〈コア〉とでも呼ぶべきものを爆弾にして、地球に投げつけてもいい。それで粉微塵です。そうしないのは、それができないからではないか。地球人に造れるかもしれないものが、ガミラスには何かの理由でまったく造れないのじゃないか……』

別にそんなにグダグダとしゃべらなくてもいいじゃないかあ。

『かなり首をひねるような仮定ですが、そうとでも考えなければ辻褄つじつまが合わない。つまり彼らガミラスは地球人が外宇宙へ出るのを恐れ、そうなる前に絶滅させにやって来たことになるのです』

Re: 戦闘開始 ( No.20 )
日時: 2019/07/06 21:55
名前: 島田イスケ

「そうだ」と沖田は言った。「ゆえに降伏は無意味。やつらは地球人類を最後のひとりまで殺す気でいる」

相原が叫ぶ。「司令部より通信です。『敵空母は月軌道に到達。スクランブルの戦闘機隊と交戦に入った』とのこと!」

「メインに映します」森が正面の大スクリーンに状況を出す。「敵も艦載機を出して迎え撃っている模様!」

宇宙空間で無数の戦闘機同士の闘いが始まったらしかった。対艦ミサイルを抱いて空母に攻撃をかけようとする地球側と、それをはばもうとするガミラス。スクリーンには色分けされた指標が乱れ動いている。

沖田が言う。「四百メートル級の空母ともなれば、対艦ミサイルの一発や二発当たったところでビクともすまい。こちら側の船は出んのか」

また森が、「向かわせてはいるようですが、砲の射程に入るまではまだ距離が……」

「波動エンジンを持たない船じゃ、ガミラスには追いつけないんだ」太田が自分の3Dパネルを見ながら言う。マトリックス画面に地球の船の動きが表示されている。「そもそもスピードが違う……」

「船の強さは、結局は積むエンジンで決まる」島はただ拳を握りしめている。今、操舵手の彼にできることは何もない。「エンジンに力があれば、それだけ船の足を速くすることができる。装甲を厚くして、強い武器を積むこともできる……」

「大艦巨砲主義の復活」南部が対空火器のチェックをしながら言う。「敵が三十キロの距離からこちらを狙える船を持つなら、こっちは四十キロまで届くデカい大砲を船に載せよう――戦艦〈大和〉が出来たときには時代遅れになってた思想が、宇宙時代の今にまた有効になった……」

「空母一隻で仕掛けてきたのは、あるいはそれが理由かも」新見が自分の前の画面に敵空母のデータを出して見ながら、「艦載機を繰り出せば、母艦は〈ヤマト〉の射程に入ることなく攻撃をかけることができる。まともにやったら地球人にかなわぬ可能性を考慮して、あえて小型の艦艇を何隻も出すのは避けた……」

相原が、「けどそんなの、こっちも戦闘機を出すのはわかりそうなもんじゃないか?」

「そうですね。ならばどうして……」

と新見が言いかけたとき、

「待って!」森が叫んだ。「空母がミサイルを発射しました!」

「ミサイル?」

全員がメインスクリーンを見た。状況を示すマップに新たな無数の指標。ガミラス艦から放たれたものが地球に向かっているとわかる。

「数は120! 巡航ミサイルと思われます!」

沖田が言う。「目標はこの〈ヤマト〉か」

「と思います。でもこの距離なら、迎撃が……」新見が言いかけ、それから急に気づいたように、「ああ! ダメよ!」

「どうした?」

「迎撃できない! 沖縄基地がまだあれば、このミサイルは地球に届く前に全部墜としてもらえたはずでした。でも――」

そこで言葉を失くした。だが説明の必要などない。誰もがもう理解していた。巡航ミサイルの攻撃から〈ヤマト〉を護れたはずの基地はもう存在しない。

太田が言った。「やつら、それを計算の上で――」

「司令部から通信です」相原が言う。「『〈ヤマト〉はまだか』と言っていますが――」

沖田は言った。「『待て』と伝えろ」


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