SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

【秋の〜】第13回 SS小説大会開催中!【夜長】
日時: 2016/12/01 00:07
名前: 副管理人 ◆qMxJS2Fu4U

【〜秋の夜長に〜SS小説大会にご参加いかがですか?】


■結果発表!(2016.11.30 管理人更新)

集計し精査した結果、
壬崎菜音@壬生菜さんの「マッチョ売りな少女」(>>39)が
1位となりました!

壬崎菜音さん、おめでとうございます〜!

今回ご参加くださった皆様、誠にありがとうございます!
投票してくださった皆様にも深く御礼申し上げます!
次回SS大会にもふるってご参加ください。


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【日程】

■ 第13回
(2016年9月3日(土)18:00〜11月26日(土)23:59)

※実際には11月27日00:59ごろまで表示されることがあります
※小説カキコ全体としては3回目のためまだ仮的な開催です
※ルールは随時修正追加予定です
※風死様によるスレッド「SS大会」を継続した企画となりますので、回数は第11回からとしました。風死様、ありがとうございます!
http://www.kakiko.info/bbs_talk/read.cgi?mode=view&no=10058&word=%e9%a2%a8


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【第13回 SS小説大会 参加ルール】

■目的
基本的には平日限定の企画です
(投稿は休日に行ってもOKです)
夏・冬の小説本大会の合間の息抜きイベントとしてご利用ください

■投稿場所
毎大会ごとに新スレッドを管理者が作成し、ご参加者方皆で共有使用していきます(※未定)
新スレッドは管理者がご用意しますので、ご利用者様方で作成する必要はありません

■投票方法
スレッド内の各レス(子記事)に投票用ボタンがありますのでそちらをクリックして押していただければOKです
⇒投票回数に特に制限は設けませんが、明らかに不当な投票行為があった場合にはカウント無効とし除外します

■投稿文字数
200文字以上〜1万字前後まで((スペース含む)1記事約4000文字上限×3記事以内)
⇒この規定外になりそうな場合はご相談ください(この掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」にて)

■投稿ジャンル
SS小説、詩、散文、いずれでもOKです。ノンジャンル。お題は当面ありません
⇒禁止ジャンル
R18系、(一般サイトとして通常許容できないレベルの)具体的な暴力グロ描写、実在人物・法人等を題材にしたもの、二次小説

■投稿ニックネーム、作品数
1大会中に10を超える、ほぼ差異のない投稿は禁止です。無効投稿とみなし作者様に予告なく管理者削除することがあります
ニックネームの複数使用は悪気のない限り自由です

■発表等 ※予定
2016年11月27日(日)12:00(予定)

■賞品等
1位入賞者には500円分のクオカードを郵便にてお送りします
(ただし、管理者宛てメールにて希望依頼される場合にのみ発送します。こちらから住所氏名などをお伺いすることはございませんので、不要な場合は入賞賞品発送依頼をしなければOKです。メールのあて先は mori.kanri@gmail.com あてに、■住所■氏名 をご記入の上小説カキコ管理人あてに送信してください)

■その他
ご不明な点はこの掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」までお問い合わせください
http://www.kakiko.cc/novel/novel_ss/index.cgi?mode=view&no=10001

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平日電車やバスなどの移動時間や、ちょっとした待ち時間など。
お暇なひとときに短いショートストーリーを描いてみては。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

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<ご参加タイトル 一覧> ※敬称略

>>1  『宇宙(よぞら)のなかの、おともだち。』 Garnet
>>2  『キミの夢』  霊夢
>>3  『大切な場所』  レオン
>>4  『最後の英雄』   月白鳥
>>5  『星空と秘密の気持ち』 霊歌
>>6  『夕焼け月夜を君と』   PLUM
>>7  『焦がれし子宮』  めー
>>8  『知』   茶色のブロック
>>9  『儚い少女』  茶色のブロック
>>10 『 white lilydie 』  PLUM
>>11 『音を通じて』  奈乃香
>>12 『月下美人。』  鏡杏
>>13 『小さい頃からスキだったの』  ユリ
>>14 『折り鶴』  御影
>>15 『妄想を続けた結果、こうなりました。』  のあ
>>16 『夏の日の物語。』  レオン
>>17 『恋するティラミス』  ゼロ
>>18 『貴女の望むもの』  奈乃香 
>>19 『貧血少女』  PLUM
>>20 『ねぇ』  はてなの子
>>21 『記念日には、貴方の言葉。』  はずみ
>>22 『君も私も爆発だよ☆』  茶色のブロック
>>23 『Reason for the smile』  ユリ
>>24 『彼は未来を見る研究をしていた』  葉桜 來夢
>>25 『Love me only』  ユリ
>>26 『ワタシとアナタ』  はてなの子
>>27 『匿名スキル』  とくだ
>>28 『アナタだけ』  レオン
>>29 『秋の夜長に君を求めて』  蒼衣
>>30 『受け継がれる想い。』  レオン
>>31 『素直になってもいいですか』  たんぽぽ
>>32 『color』  蒼衣
>>33 『二度とない日々へ』  深碧
>>34 『破られた不可侵条約』  たんぽぽ
>>35 『だーれだ』  ろろ
>>36 『堕天使』  鏡
>>37 『複雑ラブリメンバー』  とくだ
>>38 『してはいけない恋……?』  マシャ
>>39 『マッチョ売りな少女』  壬崎菜音@壬生菜
>>40 『空想森の中で。』  ニンジン×2
>>41 >>46 >>49 『あおいろ』(1)(2)(3)  &
>>42 『星の降る日』  安ちゃん
>>43 『この感情は。』  みりぐらむ
>>45 『やさいじゅーす』  とくだ
>>47 『はづかし』  沖
>>48 『Trick or love!』  PLUM
>>50 『月が綺麗な夜』  小色
>>51 『一番は』  草見 夢
>>52 『名前』  草見 夢
>>53 『人が死ぬとき』  草見 夢
>>54-55 『天使と悪魔と』(1)(2)   草見 夢
>>56 『人生最後の現実逃避』  みかん 

                  (2016.11.19 更新)

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百合は咲き誇る ( No.89 )
日時: 2017/06/22 14:56
名前: 黒百合 ◆qUy0N4FFvg

百合。
野原に可憐に、そして儚げに咲き誇る。

皆さんは、百合の花言葉を知っているだろうか?
『恋』や『純粋』、『威厳』など様々な意味合いがある。

だが、花言葉には良い意味だけが載っているわけではない。

『呪い』『死』『滑稽』。
思ってもいないものが出てくる。

繋げていくと、愛憎の縺れ(もつれ)で死んでいった人が遺した、最後の愛の証だと感じられはしないだろうか。

愛の呪い。
其れこそ、本当に伝えたい花言葉。

花はやがて枯れる。
まさしく、愛と呼ぶに相応しい。

今日も百合は咲き誇る。
その花を眺める人達の、終末など気にも留めないでーーーー

主人公の権利 ( No.90 )
日時: 2017/06/24 12:30
名前: 由良坂

いつも脇役だった。

俺、藤沢 礼於(フジサワ レオ)は、何に関しても普通、容姿だって悪くはないはずだけど、決してすごくいいって訳じゃないはずだ。

それに比べて親友の霧刃 雄飛(キリバ ユウヒ)は頭もいいし優しいし、更にイケメンと呼ばれる類いの人間だ。

そんな雄飛と、小さい頃からずっと比べられた。

雄飛は主人公に相応しい存在として、みんなから認められている。

今も、昔も。

俺はいつでも、雄飛の引き立て役だった。



「雄飛!カラオケ行こうぜ」

「ずるーい、私も雄飛くんと一緒に行きたい!」


眉をハの字にして、困った顔の雄飛。

隣でどうしていいかわからず、みんなの方をうかがい見ている俺。

そんな俺たちを取り囲むクラスメイトたち。

俺が最近気になってる茶髪で控えめな、照南 心花(テラシナ ココナ)は教室の窓際の席で、いつものように端っこで本を読んでいた。


「カラオケ行くのはいいんだけど、行くなら礼於も一緒に...」

俺はびっくりして振りかえった。

こいつ、俺を巻き添えにしようとしてる!











結局、いくことになったカラオケには、ネタ的な意味で誘われたらしい照南さんは、カラオケでも本を読んでいた。

俺は勇気を出して話しかけてみることにした。

「て、照南さん、何読んでるの?」

俺の方を見た照南さんは、とても可愛らしかった。

茶髪の髪はサラサラだし、目がぱっちりしていて、とても美人だ。

「『真実の中の嘘』って本」

「え、俺もその本読んでたんだ!」

運命のような偶然に俺は歓喜した。

すると、急に照南さんは頬を染めた。

「そうなの?私この本好きなの」


しばらく本トークで盛り上がっていると、俺は何故かポツリとこぼした。

「俺、いっつも脇役だったから、照南さんと話せて嬉しい」

すると、照南さんは急に真剣な顔になった。

「脇役って言うけど、それなら、主人公になる努力はしたことあるの?」

そう言ったあと、照南さんはそそくさと帰ってしまった。

俺は、その言葉が耳から離れなかった。





いつも逃げてばかりだったことに、今初めて気づいた。

いや、昔から気づかないフリしてただけかも。

俺は、目まで隠れるほど長かった前髪を切った。

髪をさっぱりさせて、服だって地味なやつじゃなくて、今まで着たかった服を選んだ。

主人公に、なれる気がする。










教室に入ると、驚いたような顔をした皆が一斉にこっちを見ていた。

昨日必死に『教室に入るとき 挨拶』で検索して練習したのに、まだ変だっただろうか。

雄飛が、こちらを見ていた。

「ゆ、雄飛!おはよう」

駆け寄ると、「おはよう」と小さく言って顔を背けられた。

やはり、変だっただろうか?

泣きそうになったとき、視界の端に照南さんが映りこんだ。

「おはよう、礼於くん」

名前で呼んでよ、と付け足される。

その顔はとても嬉しそうで、俺は赤面した。








あとから聞いた話だと、雄飛は地味な俺を引き立て役として使っていたので、俺がイメチェン?してきたときに、自分よりイケメンは要らないと切り捨てたらしい。

あの悔しそうな顔は忘れられねぇよ、と新しく友達になった田中くんは笑った。

俺は、主人公になった。

でも、その表現はちょっと間違ってるかもな。

俺は、最初から主人公だった。

ただ、主人公じゃないって思い込んでただけ。

今俺は、初カノとして心花も手に入れられて、自分らしく生きることができて、本当に幸せだ。

君たちも、ほんとは主人公なんだぜ?

誰だって、生まれつき主人公の権利を持ってるんだ!



Thank-you

                     fin

複雑ラブリメンバーBoy's side ( No.91 )
日時: 2017/07/01 01:33
名前: とくだ

俺には今、気になる女子がいる。

ーーでもそれは、「好き」という気持ちに近いのかもしれない。

初めて彼女を知ったのは、まだ中学校に入学して間もない頃だった。

俺は隣町からこの町に転校してきたばっかりで、知らない人ばかりでクラスに馴染めなかった。

そんな時、廊下で話す3人組の女子の1人に目が離れなくなってしまった。

(顔は見覚えのないから、違うクラスだな・・





















































         −−・・可愛い)













くしゅっと笑った笑顔を見たとき、そう感じた。


確か、後の彼女になる女子もクラスが一緒だった。

でも、付き合ってみたら家までついてくるぐらい束縛されたので、たった一週間で別れてしまった。別れる際の言葉は







       「俺、沙希のこと好きだから」



と気持ちを正直に伝えた。そして呼び出しを頼んだ。

・・でも言えなかった。
なぜなら、単純な理由。

面識がないからだ。話したこともない。まだ何も知らない。

        そのままじゃ、好きとかいえない・・・






ーーーそして今はクラスメイトだ。

俺は、彼女のことを知ろうとしている。少しずつ。

まだまだ中学校生活は残っている。その間に、想いが伝わればなぁ・・





・・その時の俺は、彼女の想いを知る由もなかった。


   「好きです!付き合ってください!」





















   「・・ごめん」






                 【END …thank you reading!!】

願い ( No.92 )
日時: 2017/07/18 22:22
名前: 鹿

「あなたの夢、願いは.....何?」
問われる。僕は直ぐにその問いの意味を理解出来ず、こう答える。
「..........何で?」

「何でって.....そんなのに意味を求めて、一体何になるの?」

「意味を求める事は、駄目な事なの?僕は、そう思わないよ」
我ながら、結構面倒くさい事を言ってると思う。
でも、自分の言いたいことはハッキリと言った
方が良いと思う。

「はあ....。もういいじゃん。そんな事。
それより、早く、ほら、願い事は?」

「願い事を言ったら、あなたは何をしてくれるの?」

「そんなの決まってるよ。叶えてあげるに決まってんじゃん。」

「...............」

「あれ?どしたの。急に黙りこくっちゃって。
もしかして、願い事が、無いとか?」

「ううん。違う。」

「じゃあ、どうしたのさ」
そんなの..........決まってるよ。

「だって、それじゃ.....意味が無いじゃないか」

「.......どうゆう事?」

「そんな簡単に叶えたいものが叶ったって、意味無いよ。なりたいもの、叶えたいものがあるなら、ちゃんと自分の足で進んでいかなきゃ」

「..........意味分かんないなー。叶うなら叶う。それで良いでしょ?」

「.....きっと今の君には、意味なんて分からないよ」
いや、分からない方が良いのかもしれない。

「あっそ..........本当に、良いの?」
こうやって聞いてくれる所だけは、優しいんだな、
と思った。

「うん。良いよ」

「そっか.....」

「そろそろ時間だな。それじゃあね」
君に背を向け、そう言う。

「.....うん。じゃあね」

「...ありがとう」
僕はそれだけ言い残して、前へ進む。

「.....あなたは、それが良いのかもね。前だけを見て、ただひたすらに走り続ける。あなたらしいよ。」

「こちらこそ.....ありがとね」

僕は、その言葉をハッキリと聞き、目を覚ます。








「.....さあ!!今日も元気に頑張ろう!」

僕は布団から起き上がり、大きな声を出す。

お皿の魔神 ( No.93 )
日時: 2017/07/19 19:49
名前: タルキチ

「寂しいと思う事はありませんか。
 誰も分かってくれないと思いませんか。
 誰かを特別に思う事がありますか。
 誰かに特別に思われる事がありますか。
 自分が好きですか。
 自分を誉めてあげていますか。
 自分の長所を答えられますか。
 自分は大切な人間だと思えますか」




 夏は嫌いだ。
 湿度と汗で張りつく服、湿る肌、やたらと乾く喉。なにより暑い。風も生ぬるく、視界はたびたび熱に揺らぐ。四六時中湯船のなかを泳いでいるような気分になる。町全体、いや、もっと広い範囲だ。出口がない風呂場。なんて恐ろしい場所だろう。
 自室のエアコンの冷気で生き返ると、もう一度外出しようという気持ちなどたちまち失せる。
 どれだけ世間さまに後ろ指を指されたって構わないから、夏の間は私を引きこもらせてほしい。

「疲れた……」

 着替えなきゃ。湿った服が気持ち悪いと思うのに、座布団に寝転んだまま立ち上がる気力もない。このままだと汗が冷える。私は胃腸が弱いので、この後の地獄を想像するのは容易だが、着替えるの面倒くさすぎる。
 ああ、お腹すいたな。勝手にご飯できないかな。無茶苦茶な事を思いながら台所をじっと見つめる。洗い物たまってるから片付けしたくないな……。
 着替えたら、洗い物をして、料理をして、食べて、片付けをして、洗濯物を干して、録画していたテレビを見れたら見て、四時にはもう一度出かけないと。待ち合わせに間に合うように。

『私、あのお店行きたいな〜。あと駅前にカフェ出来たって! 千夏も行くでしょ? 店員がイケメンらしくてさ〜。あっ、千夏彼氏いなかったよね、狙っちゃいなよ〜! そういえば私の彼氏が最近〜』
『千夏ちゃんどうする? どこ行く? 私は千夏ちゃんの行きたいところがいいなあ。……映画? あ〜……良いけど、私今月お金なくて……』
『ふーん、でもさ、それよくある事じゃない? そんなに悩むような事でもないじゃん。それよりあたしの方が大変なんだから! 聞いてよ、昨日ほんっとムカついて!』

 待ち合わせ……嫌だな――――。




 私が一人暮らしを始めたのは、県外の大学への進学が決まった去年。親と離れて生活するのは初めての事だった。
 能天気なものであまり不安はなく、薔薇色の大学生活を思い描いていたおめでたい記憶――現実、一人暮らしというものはそんな優雅なものではなかったのだけれど。大学の課題も多いしね。
 才能のなさを感じて趣味に疲れて、大学に疲れて、家事に疲れて、人付き合いに疲れて……自分の人生の色は薔薇色なんて鮮やかなものではないと気がついたら、もう疲れるどころか冷めた。
 何故生きねばならないのか。思考は哲学へと飛ぶ。
 しかし死ぬのは怖いので、惰性で生きている次第だ。




 スポンジを握り、皿を磨いていく。一枚、二枚……。

「ジャーン!!」
「えっなになに怖い怖い怖い、えっ?」

 突如吹き出た煙に驚きシンクに皿を落とした。ガシャンと耳障りな音が鳴る。

「ああっ! ちょっと! 何するんですか!! そんな上から落として割れたらどうするの〜!!」
「こっ怖い怖い怖い怖いんだけどなに」
「ていうかね、そもそもそんな安い洗剤でゴシゴシ洗っていいもんじゃないんですよ! 魔法のお皿なんだからあ!!」
「いやパン祭りの皿だもん! パン祭りの皿が喋ってる!!」

 気のせいじゃない!
 慌てて換気扇を回す。あ、しまった泡つけちゃった……。
 煙が晴れると、私の半分ほどの身長のおじさんが大事そうに皿を抱いていた。私の家のシンクのなかで。小さいおじさんが。泡まみれのパン祭りの皿にハグしてる……。
 目眩がした。これは多分本気の体調不良だ。脳が状況を理解する事を拒んでいるのだろう。

「貴方ね、前から言おうと思ってたけど、お皿の扱いが雑なんですよ! 強いにおいの洗剤でガシガシ洗うわ、汚したまま平気で三日洗い場に放置するわ、電子レンジにかけるわ!」
「パン皿電子レンジ可じゃないの!?」
「魔法のお皿なの! 特別なの! 他よりデリケートなの!」
「め、面倒くさ……」

 よろめき冷蔵庫に寄りかかる私を一瞥し、おじさんはふぅと聞こえよがしにため息をついた。おい、このおじさん性格悪いぞ。

「で?」

 で? ……私が言いたい。私は何を促されているんだ。

「願い事は?」
「願い事……?」
「分かんないかなあ。あれよ、あれ。ランプを磨くと願い事を叶える魔神が出てくるヤツ。僕はお皿の魔神なんですよ。本当はシルクで拭ってくれるまで出てこないつもりだったけど、貴方あんまりにも酷い顔してたから、おじさんサービスね。サービス」

 話ながら、おじさんはシンクから床へどすっと降りた。洗剤の泡が飛び散る。
 私はといえば、台所の掃除しなきゃ、だの、おじさん立っていると中年らしいぽっこりお腹が目立つな、だのをぼうっと考えていた。分かってる、これは逃避。分かるけどこの向き合いきれない現実どうにかならないかな……。

「ちょっと〜? 聞いてます?」
「あ、はい、願い事ですよね。ランプの魔神は三つまで? でしたっけ?」
「ランプはね。けど、僕が叶える願い事は一つだけ。魔神もピンキリな訳よ」
「へ、へえ〜……」

 生返事のお手本のような生返事をした。
 それきり会話は途切れ、おじさんはこめかみを指でほぐしながら私の答えを待っているようだった。分かる、それ気持ちいいよね……。あ、今度はお腹かき始めた……。

「……あの。じゃあ、私、もっと……生きやすくしてください」
「生きやすく? あ〜、なんか貴方見るからに生きにくそうですもんね」

 失礼な言葉にイラッとする。けれど、見てくれから分かるぐらいの不器用さである自覚もあった。つまり図星。二倍腹が立つ。おじさんは悪びれず納得したように頷いている。ええい、もう。

「そう、私ね、生きづらいんです。生きづらいの。友達もいないし、お互い全然好きじゃないけど友達のふりして付き合ってる子達とは話も合わなくて、見下されてて……サークルじゃ私だけ嫌な先輩にキツく当たられて、大学の授業楽しくなくて、バイトもキツいし変な客多いし、道歩いてて向かいから来たおばさんたちは横並びのまま譲ってくれないし、エアコンのかけすぎでお腹壊すし、電気代高いし、ブスだから彼氏なんかできないし。でも私悪くない。だってしょうがないじゃないですか。生まれつき、生まれた場所とか、持ってるものから違うのに、当たり前に比べられて。恵まれた人達と同じようにできなきゃ駄目って言われるんです、それがどんだけ不得意な事でも、おかしくありません?」
「ああ〜、発言がもうね、貴方ホント向いてないね。社会で生きるのに向いてない。いるわ、こういう若い子。おじさんたくさん知ってますよ貴方みたいな子」
「だから、生きやすくしてください。何でもいい。顔でもお金でもコミュ力でもいい。それか、物凄い才能をください。誰にも負けないような天才にしてください。それがいいです」

 おじさんは黙り込んだ。
 何だよ、出来ないとか言うなよ、とおじさんを睨み付ける。凄く虚しくなった。こんな、小さい、ふざけた訳の分からないものにしか強気になれないのか。私は。

「よし、貴方に才能をあげましょう。世の中の人間の顔が全部パンに見える才能です。ジャーン!」
「ハア!?」
「あのね、貴方のそれ、おじさんアカンと思いますよ。『周りよりできてないから駄目』、『もっと凄い人がいるから駄目』、私なんか私なんか……。『こんな人達とは気が合わない、嫌だ、でも我慢して付き合わなきゃ』」
「ちょっと……それ私の真似ですか? キツいんですけど。ふざけんな」
「無い物ねだりの人ってね、例え何をあげたって上手くいかないんですよ。考え方が一番不幸だから」
「おい――」
「嫌だったらやめれば? なんでやめられないの? 何が怖くてやめたくないの? 生きたくなくなるぐらい嫌な事から逃げないでいつ逃げる気でいるんですか。本当に逃げたくないの? 頑張れないんでしょ? どうして無理できる気でいるのかなあ〜」

 もう殴ろうと思った。おじさんをキツく睨みつける。
 殴る、殴る、殴る…………。
 殴ったら、傷害罪になるんだろうか。ぴたりと動きが止まる。

「ほらね。どうせ貴方ぐらいの考えすぎな子は、自分でストップかけられるんだから。自分が良ければいいじゃない! 頑張りなさいよ千夏さん!」

 お皿の魔神ことおじさんは帰っていった。来たときと同様、突然煙に包まれて。私にはどうしようもない。かなり腹が立っていたけど、言い返したい事が山のようにあったけど、シルクのハンカチでお皿を拭っても拭ってもおじさんは帰ってこなかった。言い逃げしやがった。
 四時からの約束はドタキャンした。そして寝た。エアコンとめて扇風機とアイスノンして寝た。翌朝スマホを確認すると、うわべ友達から昨日の動画が送られてきていた――メロンパンと蒸しパンとピザパンが流行りの服を着てカラオケで笑っていた。見てくれどんだけカオスだよ。嫌味らしき言葉も添えられていたけれど、これを打ったのは所詮メロンパン。脱力感。凄まじくどうでも良くなった。

 ランプの魔神はランプのなかから登場するけれど、おじさんの帰る場所を私は知らない。もしお皿のなかに居るなら……と考えると恐ろしいので、おじさんが抱き抱えていた魔法のお皿は簡易な神棚を作って祀っておいた。お供えものは食パン。殴るのは諦めたから、もう一生出てこないでください、と念じながら置いている。
 そして、最近パンを見すぎてご飯派になった。秋の米祭りでご飯茶碗くれるキャンペーンがあれば文句なしなんだけどな。


 おしまい

 読んで頂き、ありがとうございました!

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