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*34*
「お見事、かな。」
グレイは流れている涙を拭う。
何故、泣いているのか知らずに。
ルドはグレイに近寄り、質問をかけた。
「言う事聞いてもらえるよね?」
質問とか、願いとかではなくそれはまさしく
命令で。
「…うん。」
グレイが小さく頷くと、ルドは微笑んでグレイを抱きしめた。
「さすが、愛しい愛しい僕の子。癒の子…。」
グレイは考える事をやめた。
今はとにかく、これでいいと投げ捨てた。
―森林―
「エルザ!こっちか?!」
「……ああ!」
あれからナツ達はずっと走っている。
ルーシィはハッピーに運ばれていた。
「くそっ!何でアイツはいつも仲間に頼らねぇんだ!!」
ナツが近くの樹に拳をぶつける。
ルーシィは悲しそうな顔をした。
「きっと巻き込みたくなかったんだよ、大切な人を…。」
ナツは俯く。
ふいに、昔のことを思い出した。
―ナツがギルドに入ったすぐの事
「グレーイ!どこだ!勝負しろ!」
ずっと叫んでいた。
アイツは川原に座っていた。
脅かしてやろうと思った。
なのに。
「―――――っ…」
その場で立ち止まった。
アイツが泣いていたから。
足が動かない。
チラリとアイツを見た。
さっきよりも泣いていた。
「…帰ろうかな…。」
アイツがスッと立った。
目の涙をふいて、歩き出した。
「あの野郎…。」
明日から少しだけ喧嘩をおさえとこうと思った。
アイツが去った後、川原の流れをみる。
サラサラとしていた。
――――
守りたい。嘘つきだけど。
狂うよりは。
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