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フェアリーテイル ―雪国の氷―  完結
作者: ハヤチ  (総ページ数: 65ページ)
関連タグ: FAIRYTAIL グレイ・フルバスター 二次創作 微グロ 
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三話「不幸」


「じゃあ、グレイいこっか。」

ルドがグレイの腕を引いた。
グレイは俯いたままだ。

「…どこに?」
「どこって、マグノリア。君のいたフェアリーテイル。」

グレイは俯いていた顔をすぐにあげた。
その顔は恐怖と怒り、そして悲しみが入り混じっている。

「な、何する気だ!!!」
「何って…壊しに行くんだよ?」

あっさりと言われた。
グレイの目はみひらかれ、暴れだす。

「やめろ!!あいつ等は関係…」
「あるさ。」

ルドの声が低く、冷たくなった。
グレイは体を震わせる。

「君はもう、フェアリーテイルにいちゃいけないんだ。」
「な、んで…?」

次の瞬間、グレイは後悔した。


「君は人を不幸にする。」
「え………。」
「だってそうだろ?母も、父も、ウルも…。」

グレイは耳をおさえる。
手首に繋がれた鎖がジャラリと音を立てた。

「い、や…嫌だ…!!」
「だってさ、君がいる所には不幸ばかりおきるだろ?今回だって…」


「言うな言うな言うな言うなああああああ!!!」

グレイは泣き叫ぶ。
もうここ何日泣いただろうか、とルドは笑った。

「じゃあさ、先にギルドを辞めるよう言っちゃえばいいんだよ。」
「不幸じゃ…無くなるか…?」
「うん、だから行こう?」

ルドは手を差し出す。
グレイはルドの手を握った。


―ナツ達―


「だー、くそ!アイツどこにいやがる!!」

ナツ達がいたのは大きい湖。
ナツが先に走るからここにたどり着いてしまったのだ。
後ろでエルザは目を見開く。

「ここは…、イスバンの湖か?」
『そうだよ…君達は頭首のお友達?』

優しい、それでいて凍てついたような声が全員の耳に響いた。
ナツは声がする方、湖の中心に話しかけた。

「お前、神様か?」
『…まあ、ね。願い事は叶えられないよ?君達のは。』

なるほど、とエルザは頷く。
子供の神様だから、普通の人の願いは叶えられないのかと。

「グレイだけは願いを叶えられるのだろうな。アイツはこの神にまつわる一族だろう。」

『頭がいいなぁ、エルザ・スカーレット。』
「!!?何故私の名前を…!?」
『僕、一応神様だもん。』

自慢気に語る神、メモリーはナツのほうに向く。

『君は、イグニール君の子だよね?ナツ・ドラグニル。』
「!!お前イグニールどこにいるか知ってるか!!?」
『まぁ、ね。でも教えられないよ?教えるのも願いに入るから。』

ナツは悔しそうな顔をする。
目の前に攻略法があるのに、手が届かない。

『ルーシィ・ハートフィリア、可哀想な子供だよね。かまってもらえなかったなんて。』

ルーシィは顔を俯かせる。
エルザは、レヴィに通信ラクリマで連絡をとった。

「レヴィ、お前はグレイの一族は分かるか?」
【うん!あのね多分グレイは東洋の氷昌の一族の頭首。そしてもしかしたら―】

プッとラクリマの声が消えた。
エルザはラクリマを叩く、が治る気配はない。

(…フェアリーテイルに何があった…?)

エルザが悩んでいると、メモリーが呟いた。

「電波混線だね、マグノリアでは襲撃がおきてる。」
「なに!!?誰が…!!」

エルザは慌てて、遠隔映像ラクリマをみる。
そこには、壊れているマグノリアの建物。
その中心に――




「………!?」




グレイがいた。

「エルザ?」
「どうしたの?」

ナツとルーシィがエルザを見る。
エルザは電源を消し、笑顔になった。

「な、なんでもない!はやく行くぞ。この湖の下に、反応がある!」
「うん!!」
「おう!じゃあ、メモリーここ通せ。」

メモリーは少し悩んだが、笑顔になる。

『いいよ!!面白そうだし、ね。』


エルザは俯きながら走る。

(あんなの見せたら、助けに行くとナツが言いすれ違う可能性が高い。
 なら、ここで待っていれば…!!)


三話・終


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