完結小説図書館
作者: 副生徒会長 (総ページ数: 26ページ)
関連タグ:
*21*
time10
僕は彼女の手を引いて、ヒマワリ畑の中央に向かった。そこにはヒマワリに囲まれた小さいベンチがある。僕らはそこに腰掛けた。
「ごめん。僕は優しくなんかない。」
「えっ?どういうこと?」
ええええい!もうこうなったら、全部話してしまおう。なぜ僕がこの町に来たのかを。
「僕はいじめられてたんだ。」
言ってしまった。葵生は緑色の瞳をこっちに向け悲しそうな顔をしていた。
「僕は学校では、おとなしいほうで友達は一人だけだった。瀬戸 大賀君。僕の親友。でもそいつは転校した。いじめが原因だった。大賀は強くて親切でそれでいてかわいい奴だと思っていた。それだから、僕はいつも親切にしてくれた彼を救ってあげたかったんだ・・・彼がいじめられた原因は、顔が可愛いこと・・・。なんでって思うでしょ?僕もおかしいって思うんだよ?そんだけでいじめられるのかって。ね?でも、その顔を可愛いといったのは、先輩だったんだ。俳優やってる。月島歩夢先輩。しってる?」
彼女は首を横に振った。唇が少し震えている。
「その先輩はイケメンで、女子は過半数がその先輩の事を好きだった。だから、一人の女子がこの学校で一番かわいいのは誰?と言った。みんなは多分・・・。自分が選ばれると思っていたんだろう。どんだけ自身あんだよって感じだけどね?でも先輩は、優しいから、誰かオンリーで選ぶというのは可哀想だと思ったから。大賀が一番かわいいって言った。女子は大賀に嫉妬した。冗談なのにね。あり得ないよね、おかしいよね。なんでっ大賀がいじめられなきゃなんないんだよっ!!」
葵生は話の展開がよく分からない顔をしていた。まあ、純粋そうだし無理ないか・・・。
「葵生話聞いてくれる・・・?」
「・・・・・・正直もう聞きたくない。だけど・・・優大はまだ言いたいことがあるんだよね?なら聴くよ。苦しいけど。」
「うん・・・・本当にごめん。」
彼女を傷つけたくなかった。でも、今言わなければ絶対に後悔する。
「でさ、ある日。大賀は突き落とされたんだよ。階段から・・・・。
ホンッとさ、馬鹿だよね。女子って・・・・。本当にバカ。死んだらどうすんだよ!!!どう責任とってくれんだよ!!責任とれよ!!でも、それは事故だとして、学校に処理された。学校は・・・多分いじめとしたくなかったんだろう。それ以来、大賀は学校に来なくなった。僕は怒りがあふれ出した。そしていけないことをした・・・・・。最低だよ。全然優しくないよ・・・。言うね。僕は・・・月島先輩を殴った。最低だよね。暴力を振るう奴なんか、死ぬべきだよね。僕はいないほうがいいんだよ。それで、僕はいじめられた。気づいたら、二階から突き飛ばされていたこともある。あれはマジで危なかった。死ぬかと思った。でも、そのときは死んだほうがいいとさえも思った。生きているけどね。葵生・・・・・・。だから、僕のお母さんは、心の病気になりそうだった。しばらく僕と離れていなければ、死ぬ可能性だってあった。だから・・・。僕はこの町にいる。」
葵生は泣いていた。泣きまくっていた。
「葵生・・・ごめん。僕は、もう・・・・・・・・君に会ってはいけない。これ以上君を傷つけたくない。」
僕も泣いていた。
しばらくして、僕の手に、何かがのっかった。葵生の手だった。
優しくて、柔らかくって、冷たかった。でも、僕には優しく感じた。
「優大。でも、ね・・・。ひどいことをしたと思う。けど、ね。優大は優しいよ。友達思いだよ。大切なんだよ。いなくなってなんかほしくないよ。ずっと一緒にいたいよ。」
涙が出た。こんな僕を大切だと言ってくれる。
「葵生・・・。僕は、葵生のことが、好きみたいなんだ。だから言った。知ってほしいと思ったから。」
告白―――。したんだ。僕は。
「あのさ、優大。私も、内緒にしてあること話すね。」
次回 最終回