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*1*
ここは神舞小学校の6年3組。この教室はいつも以上にざわついていた。
どうやら、転校生が来るらしい。
「ねえ、サーヤ。知ってる?」
「なにが?千晶ちゃん。」
千晶とは今では仲良しだ。ちょっと誤解をしていたときにまったくしゃべらなくなってしまったが、
今はきちんと仲直りして、またしゃべれるようになったのだ。
「その転校生ね、美少女らしいよ!」
「へえ、そーなんだ…。」
美少女だとなにがあるのか。はっきりいうと、どうでもいい情報である。
しかし、そんな情報に反応した人物が多数いた。
「まじ!?うひょー、楽しみだなー。」
「うわあ、近くの席になれるかな、いひひ。」
そう、男子たちである。鼻の下を伸ばしてにやにやしている。
気持ち悪いので紗綾たちはほっとくことにした。
「なあ、おまえも楽しみだろ?日守弟!」
調子にのって黎夜に話しかける。
「興味ない。ていうか、鼻の下伸ばすな。気持ち悪い。おまえら絶対きらわれるぞ。」
きっぱり言い放つ。紗綾は苦笑いを浮かべつつも少し感謝した。
(こんなに男子たちがその子の周りに集まったりしたらかわいそうだもんね。)
『きゃああ〜〜〜!!!レイヤくん、クールでかっこいい〜〜!』
女子たちが騒ぐ。黎夜はその女子たちにいらついているようだ。
顔に「うるさい」とかいてある。
「ちょ、ちょっとレイヤくん。」
「なんだ?サーヤ。」
紗綾が黎夜に「顔にうるさいって感情でてるよ。」と注意する。
「別に本当のことだからいいだろ。」
すると、千晶が紗綾のほうに寄ってきて、こっそりこう言った。
「サーヤ。上目づかいで目をうるうるさせながら注意してみなよ。」
「ええ?な、なんで…。」
そんな恥ずかしいことできない、とぶんぶん首を横にふる紗綾。
「いいから。よーい、アクション!」
と言われ、なぜかやってしまう紗綾。
「レイヤくん…。みんなと仲良くしようよ…。」
目をうるうるさせることはできなかったのだが、恥ずかしさで涙が少し浮かんできてしまった。
すると、黎夜が少し顔を赤くして、
「サーヤがいうなら…。」
と言った。
「ほらね、サーヤがそうやってやればレイヤは素直になるんだよ。」
「あは…。」
こんなふうに話していると、圭吾がはいってきた。
「今日は転校生を紹介します。はいってきてください。」
圭吾がそう言うと、1人の少女がはいってきた。
千晶が言っていたとおり、かなりの美少女だ。
「水沢しずくです…。よろしく…。」
しずくの瞳は深い悲しみのように青く、紗綾はなぜかしずくに心が魅かれるのであった。