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魔天使マテリアル 「涙のしずく」 【完結】
作者: マヤ  (総ページ数: 49ページ)
関連タグ: 魔天使マテリアル ファンタジー 
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10~ 20~ 30~ 40~

*30*

―――そして、次の日。

紗綾、黎夜、志穂、しずく、徹平、京一郎、翔、翼。
伊吹に車で洞窟まで送ってもらった。


「うわぁ…ここが、その…洞窟」

その洞窟の前には、美しい人魚の像があった。
涙を流していて―――。


「―――行こう」


しずくを先頭に、洞窟の中へと入っていく。

その洞窟の中は、とても暗かった。
そして、どこか不気味で―――。

「な、なんか、怖いね…?」

なぜか、疑問形。

「大丈夫だ。なにがあっても、紗綾のことは、僕が守る」

「あ…ありがと、…黎夜」

(…みんなのことは、守らないの?)
紗綾は、心の中で苦笑い。

そして、みんなが…。


「え?いつの間に、呼び捨てにっ?」


徹平が驚いた声を上げる。
もちろん、みんな。

目を丸くして、じぃ〜っとみている。

「あ…あは…」

とりあえず、苦笑い。



「―――!」

「え、しずくちゃ…?」

しずくが急に走りだす。
紗綾たちも、急いで追いかける。


「―――波香…!」

「…え…この子が…?」

そこには、水色の宝石が付いている剣と少女、否、波香。

波香は、ぐったりとしている。
何年も前に封印されていたせいで、波香は小さいころのまま。

「…今から、もとに戻す」

しずくが、ぶつぶつと呪文を唱え始める。



―――集中して、神経を研ぎ澄ます―――



「…ん…?」

ピカッ!!!!

波香の声がするとともに、急に光が差し込む。
そして、だんだんと光が消えていき―――。

…波香は、本当の姿、小学6年生の姿に戻っていた。

「しずく…?どうして、ここに…?」

どうやら、波香は状況が飲み込めないようで―――。


「―――っ、誰?」


波香が、警戒した声を出す。

「大丈夫。あたしの仲間」

しずくは、今までのことを、短く、簡単に話した。


「―――そっか。…みなさん、ありがとうございました」

波香は、深々と頭を下げる。


「…あ、紗綾。はい、これ」

「え?うん」


紗綾に、しずくが剣を渡す。
これは、アーティファクト。つまり、破魔の聖女が持っているほうがいい。

紗綾がそれに触れると…。

「うわあっ。ちっちゃくなった」

おそらく、持ち運びの為だろう。
ストラップみたいになった。

とりあえず、ポケットに入れておく。


「…よぉ。破魔の聖女さんよぉ。それとその子、返してくんねえ?」


―――ピリッ


紗綾の首筋に、電流のような痛みが走る。

「…渡さない。あなたには、渡せない…!」

痛みにこらえながら、言葉を発する。
上級悪魔…それも、とても強い悪魔。油断は禁物だ。
みんな、ピリピリした緊張感を感じながら、戦闘態勢を取る。



                 ―――さあ、激闘の始まりだ。

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