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*30*
―――そして、次の日。
紗綾、黎夜、志穂、しずく、徹平、京一郎、翔、翼。
伊吹に車で洞窟まで送ってもらった。
「うわぁ…ここが、その…洞窟」
その洞窟の前には、美しい人魚の像があった。
涙を流していて―――。
「―――行こう」
しずくを先頭に、洞窟の中へと入っていく。
その洞窟の中は、とても暗かった。
そして、どこか不気味で―――。
「な、なんか、怖いね…?」
なぜか、疑問形。
「大丈夫だ。なにがあっても、紗綾のことは、僕が守る」
「あ…ありがと、…黎夜」
(…みんなのことは、守らないの?)
紗綾は、心の中で苦笑い。
そして、みんなが…。
「え?いつの間に、呼び捨てにっ?」
徹平が驚いた声を上げる。
もちろん、みんな。
目を丸くして、じぃ〜っとみている。
「あ…あは…」
とりあえず、苦笑い。
「―――!」
「え、しずくちゃ…?」
しずくが急に走りだす。
紗綾たちも、急いで追いかける。
「―――波香…!」
「…え…この子が…?」
そこには、水色の宝石が付いている剣と少女、否、波香。
波香は、ぐったりとしている。
何年も前に封印されていたせいで、波香は小さいころのまま。
「…今から、もとに戻す」
しずくが、ぶつぶつと呪文を唱え始める。
―――集中して、神経を研ぎ澄ます―――
「…ん…?」
ピカッ!!!!
波香の声がするとともに、急に光が差し込む。
そして、だんだんと光が消えていき―――。
…波香は、本当の姿、小学6年生の姿に戻っていた。
「しずく…?どうして、ここに…?」
どうやら、波香は状況が飲み込めないようで―――。
「―――っ、誰?」
波香が、警戒した声を出す。
「大丈夫。あたしの仲間」
しずくは、今までのことを、短く、簡単に話した。
「―――そっか。…みなさん、ありがとうございました」
波香は、深々と頭を下げる。
「…あ、紗綾。はい、これ」
「え?うん」
紗綾に、しずくが剣を渡す。
これは、アーティファクト。つまり、破魔の聖女が持っているほうがいい。
紗綾がそれに触れると…。
「うわあっ。ちっちゃくなった」
おそらく、持ち運びの為だろう。
ストラップみたいになった。
とりあえず、ポケットに入れておく。
「…よぉ。破魔の聖女さんよぉ。それとその子、返してくんねえ?」
―――ピリッ
紗綾の首筋に、電流のような痛みが走る。
「…渡さない。あなたには、渡せない…!」
痛みにこらえながら、言葉を発する。
上級悪魔…それも、とても強い悪魔。油断は禁物だ。
みんな、ピリピリした緊張感を感じながら、戦闘態勢を取る。
―――さあ、激闘の始まりだ。