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魔天使マテリアル 「涙のしずく」 【完結】
作者: マヤ  (総ページ数: 49ページ)
関連タグ: 魔天使マテリアル ファンタジー 
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「しずくちゃん!」

紗綾は、攻撃をかわしながら、しずくのほうへと走っていく。

「あ、待てこのヤロッ」

悪魔がそれを止めようとするが、マテリアルたちも黙っちゃいない。

「おまえの相手は、僕たちだ」

「チッ」

(しずくちゃん…しずくちゃん…!)


「来るな…来るな…」


だんだん、攻撃が収まっていく。


「うあああぁぁあ!!」


頭を抱え、座りこむ。


「…しずくちゃん…」


紗綾は、ぎゅうっとしずくを抱きしめる。


「ねえ、しずくちゃん…」



    1人で苦しまないで



       ―――仲間…でしょ?








                    「…泣いてもいいんだよ?」





「―――え?」




紗綾の突然の言葉に、しずくは目を丸くする。




「しずくちゃん、悲しかったんでしょ?辛かったんでしょ?」


「…泣いたって、何も変わらない…!」




     泣いたって、帰ってこなかった



       泣いたって、意味がなかった




「…しずくちゃん、わたしに言ってくれたよね」





     しずくちゃんの、ぽっかりと空いてしまった心に…




       少しでも、安らぎが生まれますように





「泣いても、強くなれることがあるって…」




     力になりたい 


   いつもは強く、弱さを見せないあなたに 伝えたい




「―――大丈夫。ずっとそばにいるよ」



「―――!波香ちゃん…」



後ろから、波香も声をかける。



「例え離れてたって、心はつながってるって信じてる。それに…さらわれた時もそこまで怖くなかったの」



そこまで言うと、波香はにこっと微笑んだ。




「―――しずくは絶対に来てくれる、そう信じてたから」



涙を浮かべつつ、しずくの手を握る。



「…我慢しないで。お願い。しずくには、幸せでいてほしいの…!」



「…波香…」



波香の頬に、一筋の涙が流れる。




「うっ…う…ああぁっ」




しずくも、涙を流し、泣きわめく。



そんな2人を、紗綾は優しく、見守っていた…。

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