完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*41*
「しずくちゃん!」
紗綾は、攻撃をかわしながら、しずくのほうへと走っていく。
「あ、待てこのヤロッ」
悪魔がそれを止めようとするが、マテリアルたちも黙っちゃいない。
「おまえの相手は、僕たちだ」
「チッ」
(しずくちゃん…しずくちゃん…!)
「来るな…来るな…」
だんだん、攻撃が収まっていく。
「うあああぁぁあ!!」
頭を抱え、座りこむ。
「…しずくちゃん…」
紗綾は、ぎゅうっとしずくを抱きしめる。
「ねえ、しずくちゃん…」
1人で苦しまないで
―――仲間…でしょ?
「…泣いてもいいんだよ?」
「―――え?」
紗綾の突然の言葉に、しずくは目を丸くする。
「しずくちゃん、悲しかったんでしょ?辛かったんでしょ?」
「…泣いたって、何も変わらない…!」
泣いたって、帰ってこなかった
泣いたって、意味がなかった
「…しずくちゃん、わたしに言ってくれたよね」
しずくちゃんの、ぽっかりと空いてしまった心に…
少しでも、安らぎが生まれますように
「泣いても、強くなれることがあるって…」
力になりたい
いつもは強く、弱さを見せないあなたに 伝えたい
「―――大丈夫。ずっとそばにいるよ」
「―――!波香ちゃん…」
後ろから、波香も声をかける。
「例え離れてたって、心はつながってるって信じてる。それに…さらわれた時もそこまで怖くなかったの」
そこまで言うと、波香はにこっと微笑んだ。
「―――しずくは絶対に来てくれる、そう信じてたから」
涙を浮かべつつ、しずくの手を握る。
「…我慢しないで。お願い。しずくには、幸せでいてほしいの…!」
「…波香…」
波香の頬に、一筋の涙が流れる。
「うっ…う…ああぁっ」
しずくも、涙を流し、泣きわめく。
そんな2人を、紗綾は優しく、見守っていた…。