完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

ヘッドフォンアクター
作者: 弥生  (総ページ数: 22ページ)
関連タグ: カゲロウプロジェクト 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~

*12*



012「赤い瞳に天災を」




カノとシンタローが歩いていた。

ビルが佇む細い道のり…「止まれ」とかかれた看板を横切りながら涼しい風を受けて行く。


「はぁ…はぁ…し、死ぬ…カノ、まだなのか?」


完全にシンタローはへばっていた。
汗をぬぐいながらカノに問うが、返答せず尖る口元を見せつけて歩き続ける。



さらに歩くこと30分。
風景は一変し、ただの生い茂る森林を前にしていた。



「ここが、そうなのか?」

「うん、マリーが昔いた森だよ、丘の事件の時、あそこからこの焼けた森が見えたんだ。なんかあるかと思ってね」

「…………おかしくないか?」

「なにがだい?」


カノは気づいていないのだろうか?

キョトンとした顔でカノはシンタローを見る。


この世界【ヘッドフォンアクター】は現実とかけ離れた世界だ。まれにゲーム内に森があろうと、マリーのいた森とは言い切れない。




森まで一歩の所で口論が始まる。


「お前…なんか知ってるだろ…?」


シンタローの問いにカノは笑って「やだなぁ」と答える。それに引きをとらずシンタローは問う。


「なら、なんでマリーのいた森と断言した…?」

「そう感じただけだよ」

「嘘だな…」


その言葉にカノは硬直する。づぼしを付かれた犯人のような仕草で頭をかく。「しつこいなぁ」と聞こえ、カノの顔が殺気を放つ、真剣な目付きとなる。


カノの瞳が赤くなった。


「あんまりしつこいことすると嫌われるよ?シンタロー」

まただ。目の前のカノが消えて赤いマフラーを着けた少女が現れた。


「…………また、それか」

「シンタロー、いくらなんでもプライバシーに関わるのはやめた方がいいよ?」


カノとは違う女の子の声がシンタローの脳裏を叩く。


「アヤノ…思い出したぞ…もう、欺くのはやめろよ」

「アハハッ…ふぅ…やっぱ、君は面白いよ」


目をつぶったアヤノはカノへと姿を変えていった。
カノはクスクスと笑ってシンタローを見る。


「…………もうひとつだ。なんでアヤノを知ってる…?」

「…………そこまで分かっちゃったかぁ、ねぇ、シンタロー君はもうすでにこの世界の謎を解いてるんでしょ?」



カノの言う通りだった。
解いた…というのは少し違うが…この世界謎は大半は頭に浮かんでいる。
こんな数学のような問題はシンタローには楽だ。


出口…恐らく鍵は脳裏に浮かんだ【あいつら】…そして、【ZERO】。【終を暴く文字】。そして…………カゲロウデイズの制作者。


つまりはこうだ。
繰り返される世界。カゲロウデイズの干渉したヘッドフォンアクターと仮設していた。だが、それではリセットの意味が合わない。繰り返されるなら俺達だって繰り返されるはずだ。つまり、この世界は…この世界を…作られた…作った…制作者が犯人だ。


犯人は検討はついた。これは偶然じゃない。完全に仕組まれたストーリーだってことだ。


「………ZEROが制作者…だろ?」

「さぁて、どうだろうね…?」

疑問を疑問で返される。

だがまだだ。
この世界は…それだけじゃない気がする。

この世界を作った理由はなんだ…?
それがわからなければ…クリアは無理だ。


「困ってるみたいだね、シンタロー、シュウヤ」


先程に見た。じゃない、これは本人だ。
赤いマフラーを着けた制服姿の少女。




「アヤノ…」

11 < 12 > 13