完結小説図書館
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*13*
クリアのないゲームをしたことがあるだろうか?
ひたすらループし続ける世界論。
「お願いです助けてください」と老人から…………
「嫌です」と返答してみよう。
必ず「そんなこと言わずに助けてください」となる。
しつこすぎる。嫌なのに抗えない。
こんな不便な世界…………いっそ…
「消えてしまえばいい」
013「NOーエンドレス」
夕焼けが横切り夜になる。
寒さと共に暗さが闇を演出していた。
「ね、ねぇちゃん…なの…?」
「うぅんとね…まぁそうかな、うん、そうだよ、シュウヤ。元気にしてた?」
完全に記憶が戻ったわけではない。
シンタローが持つ記憶では…あの事件は含まれていなかった。ありきたりの話をただ、呆然と立ち尽くすのみしか出来ない時間を過ごすことになる。
「元気って…ねぇちゃんは平気なの!?」
「…………シュウヤ、下手な芝居は辞めようよ。欺くのもその辺にしとこ、ね?」
アヤノは気づいていた。カノの能力の変化を、誰よりもいち早く。これは長年の勘と言うやつなのだろうか。
周りを見るとすでに夜中のようだった。
ふと思いだし、エネからの伝言を思い出す。
確かキドの同行前…
『ご主人、寒くなったらこのアプリを押してくださいね、きっと役に立ちますから』
とにかく寒いのでエネのいった通り、赤いアプリを押してみた。するとケータイが輝き赤いジャージが目にはいる。
「…………なんでもありだな」
そういってシンタローはジャージを身に付けた。
不自然に安心する感じがした。
とは言うものの…寒さは凌いだが…この状況をどうするか…だな。
しづ待った間合い。
カノは下を向きながら口元をニヤッとした。
「シュウヤ、隠し事はいけな…」
【チュンッ】
言葉を遮る銃声が鳴り響く。
カノと俺は緊急事態のように目を大きく開いた。
「ねぇちゃん…!!」 「アヤノ…!!」
倒れていくアヤノをシンタローはギリギリセーフで助けにはいる。カノは見たことのない目付きと集中力で周囲を警戒し始めた。
「よかった…掠り傷だ」
「し、シンタロー。逃げ…て」
「喋んじゃねぇ…!黙ってろ…!!」
「見事な絆ですね…ヘドが出る」
目の前にはカノを視覚にしたZEROが立っていた。
暗闇で黒と同化するように服がなびく。
片手にハンドガン…打ったのは…
「お前かぁぁ…!」
叫んだとたん、シンタローの頬に切り口が入る。
どうやら今の一瞬で弾丸を…引き金を引いたらしい。
早すぎて…見えねぇ…ヤバイ…どうすれば。
「なんで…………なんで、ねぇちゃんまで」
「うん?勿論邪魔だからですよ…」
「約束が違う…………!」
えっ…?
今、なんて…
「うるさいですねぇ…」
ガシッとカノはZEROに頭を捕まれ驚異の力量でカノを持ち上げる。そして頭にハンドガンを突きつけた。
「一人…………め」
【ドンッ】
血敷き蜉赤い輪郭線。
銃声と共にカノはシンタローの方を見ながら崩れていく。今にも目を背きたい。だが出来るわけがない。
シンタローの怒りの沸点は最高潮に達していた。
「この…………やろぉ…!」
「二人目」
【ドンッドンッ】
二つの弾丸がシンタロー…………ではなく。
「アヤノ…!!あやのぉぉぉおおお!!」
見たくない親友の生死。
こんな絶望的なことがあっていいのだろうか。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「うわぁぁぁあ…!!」
涙と降り注いだ絶望を糧にシンタローの視界は赤く染まった。
【少年よ…何を求める…?】
「求める…?俺がか?」
【哀れだな…貴様の望みを答えよ】
「そうだな…いっそこのまま死ぬほうが…いいかもな」
【それも一興だ。叶えよう】
「待ってくれ…俺は、何かを無くしたのか…?」
【…………あぁ】
「そうか…なら、取り戻す力をくれ」
【醜いな…人間とは】
「醜くくてもいいさ。生きてる限りは、な」
【よかろう。少年よ…しかと『目に焼きつける』のだ】