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ヘッドフォンアクター
作者: 弥生  (総ページ数: 22ページ)
関連タグ: カゲロウプロジェクト 
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10~ 20~

*14*


014「焼きつけられた世界論文」








ここは…どこだろう。

夏風が靡く炎天下の横断歩道の真ん中。

シンタローは立っていた。




「俺は…………そうか…アヤノとカノが」



白い雪が降り注ぐ。夏だというのに…間が悪い。

気味が悪い雪を手に取り、スッと溶けていく…結晶を見つめながら拳を握る。




「駄目だ…こんなとこにいちゃ…アヤノ…アヤノ…!」


願いの思いが克てとなる。
降り注いでいた雪が金色に輝きだし…シンタローを包んだ。

眩しい日差しのなか…シンタローは目をつぶった。







………………………………!


目を冷ましたシンタローは目の前の声に耳を傾ける。


「ね、ねぇちゃん…なの…?」

「うぅんとね…まぁそうかな、うん、そうだよ、シュウヤ。元気にしてた?」



聞いたことある。カノの声だった。
さらに親友であるアヤノも一緒だ。




完全に記憶が戻ったわけではない。
シンタローが持つ記憶では…あの事件は含まれていなかった。ありきたりの話をただ、呆然と立ち尽くすのみしか出来ない時間を過ごすことになる。


「なんだ…これ…………見たことある!」

「シンタロー、大丈夫?」


……………………………………………………これ………は。
あのときの…訳がわからないが…荷の前にはならねぇ!

シンタローはアヤノに向かって歩きだした。



「それより、元気って…ねぇちゃんは平気なの!?」

「…………シュウヤ、下手な芝居は辞めようよ。欺くのもその辺にしとこ、ね?」


【チュンッ】


1つの銃声が鳴り響く。
だが…平凡な人生は方向を曲げていた。


シンタローがアヤノを押し倒したのだ。
裏返しにしてシンタローがクッションになる。
「きゃっ」とアヤノの可愛らしい声が聞こえたあと、重心が一気にシンタローを襲った。



「シンタロー…………?」

「ならねぇ…」

「え?」


カッと暗闇の方を見上げてシンタローは立ち上がる。
カノもアヤノもシンタローの目先を追う。

「あのときみたいにはならねぇぞ…!ZERO」


ポケットから白いイヤホンがこぼれ落ちる。
黒を全般としたZEROが暗闇から現れた。


「ばれてましたか…いや…コンテニューですね」

不適に笑うZEROにカノは目を光らせていた。
あのとき…「約束が違う」と言っていた。

こいつらは…知り合いなのか…?
いや、そんなことより、どう切り抜ける!?

戦闘なんてやったことねぇぞ俺は…………!



「シンタロー…よく粘った」

「全くひやひやさせるっすね」

「で、でも……かっこよかったよ?シンタロー」

『ご主人…!しっかり録音しときましたよ…!!』



目の前に三人の人影が目に入る。
キドにセト、それにマリーとエネだ。


「お、お前ら…」

「全く…………めんどくさいですねぇ!!」


のし掛かるZEROにセトは目を赤くさせた。
「盗む」きだ。しかし…戦闘ではやくに…


「マリー!右っす…!」

セトが口ずさむとZEROは言った通り、右に方向転換した。そしてその場所にマリーが入り込む。


「皆をいじめた、罰だよ…!」


「目を合わせる」力でZEROを止めた。
いつの間にこんな連携を…


それぞれはアジトへ足を運んだ。

カノは立ちずさんでいる。


「何してる?ほら行くぞ、カノ」

「シュウヤ、ほら行こ、ね?」


アヤノとキドが手をさしのべる。
カノは驚き目を丸くした。少し照れているのか、仕草が少し変に感じる。


疑うのは…後でも遅くない…よな。


安心したシンタローは目を赤くさせながらアジトへ向かった。




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