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ヘッドフォンアクター
作者: 弥生  (総ページ数: 22ページ)
関連タグ: カゲロウプロジェクト 
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10~ 20~

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018「アヤノの幸福理論【2】」








つぼみとこうすけ…それとシュウヤ。


あれだけ小さかったあの子達がここまで成長してるなんて思わなかったなぁ。

あのとき…自殺なんてしてなければ…どうなってただろうか?

偶然にもあんなノートを見つけなければ今ごろは平和に暮らせていただろうか?


いや…【違う】



これが私の…アヤノの…………幸福なんだ。






「ただいま〜」



今日も悲しさを隠した私が帰宅する。
透き通る声は反射することなく出迎えと空気が虚無へと誘った。


誰もいないのかなぁ?


そんなことを思いながらキッチンのあるリビングに足を踏み入れる。誰もいないと思っていた。




「コノハさん…?」


なぜだろうか…この人は誰なのだろう。
白銀の青年がドアを開けた目の前にしょぼんとして突っ立っていたのだ。


「あれ…私、この人の名前…」

「君が…アヤノ…?」

「あっ…はい、そうですけど…コノハさん?ですかね」


恐る恐る聞いてみるとコクッと頷いた。
なぜ、名前がわかったのだろうか?



「えっと…お茶、飲みますか?」


私はバカなのだろうか…空気が読めていない。
これはシンタローにバカにされるわけだ。

しかしコノハはコクッ…と頷いた。
不思議な青年だ。まるで親しく接しているような。




「それ…………で、コノハさんは何のようで?」

「そうだった、忘れてた」

「忘れてたって…ハハッ」


少し能天気だな…と思った瞬間、コノハの顔色がとてつもなく険しい顔になった。


「一緒に来てくれないかな…?」

「えっ?ど、どういうことですか…?!なんの用件で」

「ヘッドフォンアクターっていう、ゲームの世界、僕の記憶はあのなかに入るとリセットされる」


なんのことだろうか。リセット?ヘッドフォンアクターって確か…………貴音さんがいってたゲームのことじゃないのかな…。



「取り合えず…これ」


渡された一枚の鍵。
赤色の宝珠のように輝く何かのドアを開けるような鍵だった。


「それじゃ…………お願い」

「あっ待って、コノ…………行っちゃった」


いや…屋根を突き破っていかなくても…
あぁ…請求されるだろうなぁ。

ってそんなことよりも…。


「これ…………どうしよう」

「ふぅん…取り合えず、僕たちに説明してよ」


「きゃっ」というアヤノの可愛い声が鳴り響き、後ろにいたキドが少し赤面し、セトは耳を塞ぐ。


「か、帰ってたの…?」

「今さっきね、で、あの人誰?」

「シュ…………シュウヤ、って皆も聞いてたの?」


カノを残した二人はコクッと頷いた。
あの人も言ってくれればいいのに…。


仕方ない…話すだけ話そう。


あっ…シンタローにも話そうかな?

あいつ、めんどくさがるかな?
それとも…興味を持つかな?


「…………私、なに考えてっ…あっ!」

「ねぇちゃん…………」

「な、何にもないよ?ね?シンタローのことなんかこれっぽっちも…あっ…」




カノは二回へと足を踏み入れていった。
キドはため息を、セトはカノを遠くから見ていた。



私は幸せだなぁ。

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