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名探偵コナン夢物語 過去編1
作者: らいち。  (総ページ数: 9ページ)
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*6*


7・ひとりきりのクリスマス・イヴ。〜奇跡〜

「もしもし。」

まだ涙の残る瞳で、受話機をとった。
でも、

『奈都。』

その一言で、
さっきまでのことが全部吹っ飛んでしまった。

「パパ…?」

信じられなかったけど、
夢じゃなかった。

『奈都…。これからパパが言うことを、よく聴いてほしい。』

驚きと
喜びと
悲しみと
怒りが
私の口を動かないようにしている。

『パパは、FBIの捜査官だったんだ。
 でも、パパが追っていたのは、
 ヒーローでも倒せないくらいの、すごく悪い奴だったんだよ。』

「そう…だったの…。」

『それで、パパは今、とても遠い所で暮らしている。
 ここに奈都たちは来ることはできない。
 でも、
 もしかしたら、奈都たちに会えるようになるかもしれない。
 だから それまでパパを待っていてくれないかな。』

「…。」

『奈都。おまえには、強くなってほしい。
 急にいなくなったパパは、弱虫で最低だけど…
 どうか、泣かないでくれ。』

「パパ…。」

泣かないでくれ、そう言われたのに。
パパと同じ色の私の瞳からは、涙がいっぱいこぼれてきた。

『そろそろ時間だ…。
 最後にもう一つ、この電話のことは、ママには内緒にしてほしい。
 これは、パパと奈都だけの秘密だぞ。』

「うん。」

『じゃあ、次に会うときは 立派な姿をみせろよ。』

「あ…」

切れちゃう。
魔法が、終わっちゃう。
まって…、最後に、言わせて。

「パパ…!」

『奈都。』

―― Merry Christmas.

そう言って、
魔法は終わってしまった。


パパ。
ううん、お父さん。

ありがとう。
大好きだよ。

絶対、忘れない。

絶対、強くなるからね…!


外の雪はすっかり止み、
雲のすき間からは、
満月の優しい光がみえていた。



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