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我落多少年とカタストロフ【完結】
作者: 月森和葉 ◆Moon/Z905s  (総ページ数: 42ページ)
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10~ 20~ 30~ 40~

*1*

 暑い、ある夏の日。
 太陽が容赦なく肌を抉る昼下がり。
「あつー」
 アスファルトが太陽の光を反射して、もろに顔に熱を飛ばす。
「でも、夏休みだし」
「補習も終わったしね」
 一人の少女と、二人の少年。
 少女は長い髪を掻き上げ、肌を伝う汗をタオルで拭った。
 時間は、現在よりもっとずっと先の未来。
 今地球上に存在している全ての命が死に絶えたときに、起こるかもしれない物語。

 少女の名前は、立花(たちばな)・遥香・クリストフ。
 長い髪にカラフルなピンを挿し、いつも大きな眼を輝かせて笑っている。
 はっきりとした、とても可愛らしい少女だ。
 少年――背の高い方の――は、理実(さとみ)・悠人・ヴィラ・パニマ。
 これもまたよく笑う、賑やかな少年である。
 もう一方の少年――蒼い眼の――は、北城(ほくじょう)・霧・コラプス。
 蒼い眼が特徴的で、もともと肌が白い。
 彼は学年で成績を入学時よりトップをマークし続けている天才である。
「でもさ、なんでキリが補習に出てるの?」
「そーだよ。万年成績トップで生徒会長さんが?」
 少年は、穏やかな顔で答えた。
「だって、夏休みの間は学校がないから勉強しないし……出来なくなると困るから。それに、遥香や悠人にも会いたいし」
 そう言って彼は出る必要のない補習に毎回出席しては、二人の勉強を手伝ってやるのである。
 毎年それをやっているものだから、彼の校内での地位はますます確立している。
「ちぇっ、キリがそう言うんだったら俺も出なくちゃいけねーじゃん」
「どっちみちユウは出なきゃいけないの!」
 遥香のもっともな言葉に、悠人はむすっと唇を尖らす。
「悠人はもうちょっと勉強した方が良いね」
 霧がそう言うと悠人は更に不機嫌そうな顔になり、遥香は面白そうに笑うのだった。

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