完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*23*
勇香がナイフと包丁を取り出すのが見えた。
トモキ先輩の所持物は鎌とナイフ。
鎌の柄の先には麻紐がついていて、遠距離攻撃を可能とする。
道具を見るだけで、トモキ先輩の方が有利だ。
「勇香!」
再度、叫ぶ。
が、蔦が足に絡まってうまく立ち上がれない。
戦闘が開始された。
先輩が鎌で短距離攻撃、勇香はナイフでやりあう。
両者、左手が空いた。
勇香の包丁が先輩の右腕を刺そうとするも、先輩はナイフで跳ね飛ばす。
両方が飛びずさり、2メートルほどの間が空いた。
その時間にも、俺は蔦を外しにかかる。
先輩の鎌が勇香を遠距離攻撃。勇香はうまくそれをよける。
そこで俺の蔦が外れ、勇香に応戦する。
先輩から勇香までの距離が3メートル、先輩から俺までが1メートル、俺から勇香までが2.5メートル。
俺の所持物は矢7本とナイフ。
昨日の事に懲りて、矢数を増やした。
俺の矢が先輩の頭を狙う。
ナイフで跳ね飛ばされた。
続いて、接近してきた勇香が先輩の首を狙う。
鎌でやり返した先輩は、そのまま勇香の右腕を裂こうとする。
「……っ!」
反応が遅れた勇香は、浅くも広く右腕に傷をつくってしまった。
血が垂れる。
それでも勇香はナイフで先輩の鎌を狙う。
よけられた。
その間に俺は、先輩の足元を矢で突く。
左足を持ち上げるだけでよけられた。
バランスを崩した先輩は、勇香もろとも倒れた。
転じて、先輩としては絶好のチャンス。
「先輩!」
叫ぶも、先輩には聞こえない。
「先輩!」
待ってくれ……そいつは……勇香は、さっきも戦っていたが……。
前に、決めたんだ。
もう二度と、人を殺さない、と……。
PR