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*24*
トモキさんともつれ合って転んでいる私には、トモキさんの荒い息が間近で聞こえてくる。
少し、いや、すごく怖い。
私はトモキさんを殺さない。
怪我もさせたくない。
だから、この状態をどうすればいいのか、分からなくて。
ただただ、怖いだけ。
強志君は、近くにいた。
でも、トモキさんを退かそうとしても跳ね飛ばされる、それの繰り返し。
「勇香!勇香!勇香!」
私を呼ぶ声が聞こえるけど、私には何もできない。
右腕からの出血で、めまいがする。
もう何をすることもできない、通りすがる人だっていない。
私が絶望を感じた、一瞬後……。
ザクッ
―――辺りに、鉄の臭いが漂った。
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