完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

カナリア 短編 END
作者: 水沢麻莉衣  (総ページ数: 9ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

*4*


「もしかしてーーーレイチェル起こってたり?」

朝から色々考えるわたし。
もしかして考えすぎなだけ?

『彼は最初、友人かと聞いたのだわ』

ちょっとだけ殺気立ったレイチェルのあの言葉。
もしかしてほんとに・・・起こってたり?
あの穏和で優しいレイチェルが・・・?
まさか。
レイチェルは怒るなんてことを知らないような少女なのだ。
わたしは・・・ルーフェスさんに嫉妬してたんだ。
レイチェルの一番はわたしだと、レイチェルを知っているのはわたしだと、思っていたから。
嫉妬してしまったのだ。

・・・嫉妬。

恥ずかしい。
女の子に嫉妬なんて・・・。
わたし・・・変な子だわ・・。

「どうしたの?
シーカリス?
元気がないようだけれど?

・・・レイチェルのことね。

なにかあったのかしら?私で良ければ話は聞くわよ?」

母さんにはなんでもバレてしまう。
何かの魔法かしら。
ふふ。
でも。
心配はさせたくない。

「なんでもないの。マリアのところ、行ってくる。」

「いってらっしゃい。
レイチェルちゃんも?」

「・・・うん。」

わたしは母さんには嘘をついた。
レイチェルは今日は多分来ない。
マリアのところにも来ない。

ーーーー美しきカナリア。
カナリアは地に染まる。
そしてーーーー

血に染まるだろう。

美しきカナリア。
血にまみれたカナリアもまた美しきカナリア。

3 < 4 > 5