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カナリア 短編 END
作者: 水沢麻莉衣  (総ページ数: 9ページ)
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*5*


美しきカナリアは幸せになれたのだろうか?
誰かのモノになったカナリア。

地に染まる。そして
血にまみれたカナリアも美しきカナリア。

****************

「ちょっと、シーカリス!レイチェルはどうしたのよ?
もうすぐカナリアになる者が決まるというのにーーー、緊張感が足りないわ!
レイチェル・・・あの子にカナリアになる資格はないわね
だって、来ないんだもの!
やる気が見られないわ!
失格よ!!失格!!
あの子に伝えてちょうだい!
貴方には

カナリアの才能はない

ってねーーーー。
それでは初めましょう。シーカリス
貴女はやる気があるわね。ちゃんと来てるもの。
さぁ。
シーカリス・・・カナリアのチューニングを始めるわ。
ヴァイオリニストを呼んであるの。
さぁーーー、ヴァイオリニストの彼を紹介するわ

・・・ルーフェス・イアンよ」

森の木々から出てきたのは、綺麗な顔立ちの男の子。
美しきカナリアにも負けない程の美男子・・・。
・・・!!?
この人・・・っ!
あの時の・・・っ!?

『道に迷ってしまったのです』

道を聞いてきた男の子。
・・・レイチェルの知り合いだと言う男の子だった。
男の子もどうやらわたしに気づいたらしい。

「お久しぶりです。
ルーフェス・イアン・リティーシアです。
・・・今日はレイチェルは?」

・・・レイチェル。
やはりレイチェルとは親密な仲なのね。

「今日はいないですよ」

「そうですか。それは残念だ。
レイチェルに会えるかと思ったのだけれど」

「家に行けば良いじゃないですか。
きっと居ますから」

「言い合いでもしたのですか?」

ルーフェスさんはすこし控えめに問う。
優しい人。
とても美しき男性の方だこと。
・・・・・ずるいわ。なぜ?なぜなの?
レイチェルだけがーーーこんな男性に巡り会えるなんて!

「とりあえず、チューニングしましょう」

「・・・レイチェルではなくてよろしいの?
わたしはシーカリスよ。レイチェルじゃないの」

「?それでもかまいませんよ。
ボクは音を合わせに、確認に来ただけ、それだけです。
レイチェルには会えるといいなと思っただけです。
貴方の気を悪くしたのであれば申しわけないです。」

「・・・レイチェルは貴方には会いたくないと来ていないのよ・・・。残念ね。レイチェルったら男性は苦手だそうよ」

悪魔だ。
レイチェルがいつそんなことを?言ってない。
わたしはーーー悪魔。
・・・結局、わたしは何がしたいの?
レイチェルの幸せを消したいのね。
レイチェルから幸福を奪いたい、悪魔・・・。

聖女でなければいけない、カナリア。
マリア、わたしはカナリアにはなれない。
だってーーーこんなにも。
ケガレテイルモノ。
それに。可笑しいの。ふふ。
レイチェルの絶望が浮かぶわ。
この男性に誤解されてさぞかし辛いでしょうね!
ふふふふふふ!!!!
可笑しいわ!可笑しいわ!
楽しくて仕方ない。
なにが?

レイチェルヲクルシメルノガ!!!

絶望しなさいよ。
私に、その顔を見せてちょうだい!
ふふふふふふ!!!!
レイチェル貴女はもう終わりよ!
カナリアになるのはわたし。
男性を貰うのもーーーーわたしよ!

「レイチェルはボクといるのは苦痛だったのですね」

「そうね。
わたしに相談してきたものだわーーー。
裏で言われる貴方が哀れ・・・可哀想だからお伝えしたのよ・・・」

そう。
可哀想なのはーーーわたし。
レイチェルに全てを奪われるわたし。
だからね。
全てを取り戻すわ。
ふふふふふふ!!!!
見ていなさい!レイチェル!

アナタニハワタサナイーーー。

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