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第 6 章
〜 柊の想い〜
体が、重い。
全身がまるで鋼鉄にでもなってしまったかのようだ。
動くのは顔の筋肉と、指先だけ。
柊は、もう自分の死期が近いことを悟っていた。
「 もう一度だけ、凍夜さんに会いたいな・・・」
柊は心の中で何度も言っていた言葉がある。
その言葉は、凍夜が来たら言おうと決心していた。
もし、もっと健康な体があったら、時間はたっぷりあったのかな・・・
柊は、凍夜との大切な思い出を忘れぬように、一つ一つ記憶を
辿っていった。
初めて出会った日、桜の木の下で、あなたは私に死期が近いと言ってい
たけど、本当にそうなってしまったよ。
それからは何度も足を運んでくれて、私とっても幸せだったなあ。
今までの孤独で寂しい気持ちを、あなたは全て埋めてくれたね。
また来てくれたら、全部話すから、だからお願い、早く来て。
凍夜、もう少し私に時間を・・・
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