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*16*
最終章
〜 これからも 〜
「 好きだ、柊・・・」
手が震えた。声も震えた。全身が緊張と焦りで固まっていた。
返事を聞くのが怖かった。
そして・・・
「 嬉しい・・・生き・・てて、よか・た。」
その一言で、凍夜は今までなかった幸福を感じた。
温かさを感じた。
今までの自分を恥じた。
「 でも・・わた・・しのこ・と・忘れて・・」
「 そっそんな! 俺は絶対にお前のこと、一生忘れない!」
「 私、も・・愛してる・・ だからこそ、あなた・・・苦しめ・・
たく・・・ない!」
「 俺は、お前のおかげで! 命の重さ、自分の愚かさ、そして、
愛を知った!!」
その瞬間、目から水が溢れた、どんどんでて、柊の顔がぼやけた。
そうか・・・
これが、「 涙 」と言うものか。
「 凍夜さん・・・」
「 なん・・だ?」
「 私っ まだ生きたい!! 生きたい・・・よぉ!!」
柊の顔がくしゃくしゃになった。
柊の目からも、涙が溢れた。
それからは、別れを惜しむかのように、何度も何度も
キスをした。
「 柊、生まれてきてくれて・・ありがとう・・・」
「 凍夜も・・私・・を幸せ・にして・・くれて・・ありがとう!」
時は無情にも進み、日は昇っていった。
固く握った柊の手の熱は少しずつ失われていった。
そして、柊はこの世を去った。
〜 数年後 〜
凍夜はテキパキと仕事をこなしている。
しかし、もう今までの彼とは違う。
「 河越 京子は、あなたですか?」
「 ひっ! しっ死神!!」
「 怖がらないで、心残りはあると思いますが、もう時間がきてしまっ
たのです。」
「 そんな・・・」
「 大丈夫、私が迷わぬように、あなたをお連れいたします。今まで
与えられた生を立派にまっとうされた、あなたに心から敬意を
表します。」
「 お疲れさまでした。」
だって、もう彼には心があるのだから・・・