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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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 『村雨』

 『村雨』……それは、江戸時代に刀匠『江戸ノ宮國光我雷宝刀(えどのみやくにみつがらいほうとう)』……通称『江戸ノ國光』により製作された刀……その切れ味は、全くもって、落ちず……逆に切れ味が増すという……奇妙奇天烈な刀であった……そんな刀は有名を超えて、海外に迄及んだ……何時からか……黒船来航のペリーでさえ、その刀を欲しがったと言う……その当時、『村雨』は江戸幕府……徳川家康が所有して、代々家宝として、受け継がれていた……だが、そんな刀も、何れは盗まれて……江戸幕府十四代将軍徳川家茂の時代……そんな時に家茂の所有していた『村雨』が盗まれた……それに対して、家茂は大変儚んだと言う……だが、そんな刀……何故、盗まれたのだろうか?
 簡単に言えば、『凄いから』だろう……だが、そんな簡単に盗まれるだろうか?江戸城はとても強固なのだ……そんな簡単に盗める物ではないのだ……だったら、簡単な話……江戸城の中の人物が盗ったに違いない、そして、盗った人物もある程度は分かる……それは忍者だ……まぁ、名前も言わなくても良い……そんな忍者が取ったで良いのだから……そして、その刀は忍者の人間に受け継がれていき……2016年!その刀は、とある一人の少年に受け継がれる……

 縷々とした道を駆け、少年は笑う……少年の身なりは、紫の和服だった……まるで、昔の忍者の様だった……背中には、短剣が一本背負っていた……
「只今参上したで御座る!父上殿!」
「……のう……お前……昔は『御座る』なんて付けていないから、止めなさい……」
「厭です!『御座る』って付けると、外人さんに喜ばれるんですからっ!」
 ツンと、少年は父の話を折った……はぁ〜〜と、溜息混じりに諦める……少年の名、『不生(いかさず)』は、父、『不消(きえず)』に呼ばれていた……ここは、『不(あらわせず)の里』……不生達忍者の里である……そんな里には、一つ、いや、一つでは語り尽くせない程の伝説があった……その伝説の一つ、『村雨』の事だった……
「大変面倒な事だが……我が家の家訓として言っておく……不生!貴殿に『村雨』を受け継ぐ資格を与えよう!そして、貴殿は『村雨』を手に入れた瞬間に、この家での男と認めよう!」
「……う……うずうずしてきたで御座る……遂にその刀を……!自分が……!」
 ガッツポーズをする不生……だが、不消は言った。
「ただ……試験があるんだ……私が『『村雨』を隠す』から、お前はその刀を見つける……見つけた暁に『村雨』は受け継ぐ事が出来る……分かったかぁ!?」
「あい!完了で御座いまする!!……その前に父上……もう、喋り方を元に戻しては頂けないでしょうか……?」
「完全に硬かった?やっぱ、こういう言い方めんど……まぁ、今風に言えば、俺が刀を隠すから、お前がその刀を見つけたら、この家では、大人にしてやるって感じかな……?まっ、ガンバ」
「バリバリ!と、体に電流が走りました!頑張ります!」
「すまんが、お前も元に戻せ」
「折角楽しんだのに……親父!俺は、この試験!クリアしてやる!分かったか!?」
 完全に羽目を外し過ぎな二人だった……
「大変だけど頑張れよ、お前は俺の息子だからな……出来なかったら、今日から、破門な?そして、今日の夕方六時が、タイムリミットな?分かったか?」
「完全に分かったぜ!今からでも良いぜ!」
「絶対に完璧に出来ろよ?」
 余暇を楽しみながら、不消は、煙草を吸った……

 太陽が照っている……コケッコッコー!と鶏の鳴き声がした……鶏が鳴いた頃……試験は開始だった……すると、不生の目の前に少し胸が出始めた女の子が立っていた……彼女の名前は『不萌(もえず)』……『不の里』のくの一一族だった……そんな彼女は不生の二歳年上だった……
「大変ねぇ……アンタも……」
「不萌よりかは、まだマシだ……アンタのは……房中術の秘伝だったっけ?違うかった?」
「太陽が暑いわねぇ……うん、そうだよ……その『力』があれば、アンタもイチコロねぇ?」
「えっ?そういうモンなのか……?だったら、何れかけてくれよ?その、房中術をさ?」
「……最高だけどね……でも、アンタにはかけたくない……だって恥ずかしいもん……」
「ん?房中術って恥ずかしいのか?何で?戦いの型を書いているんだろ?だったら、恥ずかしくないじゃん?」
「……ん……?話が矛盾……成程ね、アンタは房中術を知らない訳か……まぁ、良いわ……ちゃんと、刀……見つけなさいよ」
 よっと、そう言いながら、3mもある塀を登って消えた……今の俺にそんな物は要らないから良いけど……そう思いながら、刀を探す……そして、もう、夕方になってしまった……残り10分……どうやったら、見つかるんだ……?
「大丈夫だ、ちゃんと、目の前を見るんだ……お前が、信じたモノの目の前にある……分かったか?」
 完全に分からない……どういう意味なんだ……父の言葉を、そう思いながら、膝をつく……そして、頭を抱える……ダメだ……見つからない……そう思った瞬間、信じたモノの意味が分かった……それは……自分の周りの人だ……自分の周りの人を信じないでどうする?そう思いながら、周りは真っ暗の中に居た……そして、右手には、一本の剣が……背中の剣とは違う……また別の……何時の間にか、その剣を引き抜いていた……そして、その剣で暗闇を切っていた……すると、周りは開けていく……そして、家の中の自室に居た……そして、右手には、抜いた刀が……左手には、鞘が……この刀は……?すると、父が現れて言った……
「たく……開けやがったな……それが、『村雨』だ……」
 ……大丈夫……これが『村雨』……そう思った瞬間叫んだ……まぁ、大声を上げたので、怒られたが……そして、その剣を手に入れたので、男として、認められた……そして、不生は色々な事件に巻き込まれるのだが……今はその話はしなくても良い……

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