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色褪せた僕は、
作者: たまはる  (総ページ数: 15ページ)
関連タグ: ラブコメ 馬鹿 ちょいシリアス 
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10~

*13*

4話 文化祭(前編)

気付けば既に月は変わり、9月になってしまった。9月には、この峯が丘高校最大行事の星峯祭(せいほうさい)が行われる。
「花山、それもうちょい右!」
「はい!」
なぜか俺と夢野が玄関の装飾を手伝っている。本来は3年生の本部会の仕事だが、人手が足りなく手伝うことになった。
「いやー、夢野さんたちに頼んで良かった~」
「いえ、このぐらい」
こいつ、俺以外の前では猫被りやがって。
「うし、残りもあと少し。怪我せずにさっさと終わらせて帰るぞ!」
これがフラグだと誰が思うだろうか。先輩だし、フラグ建てるとか思わないじゃん。

ーー数分後
「最後に横断幕だ。片方は俺がやるから、もう片方は花山が止めてくれ」
「分かりました」
脚立に乗ろうとすると、夢野が寄ってきた。
「怖いなら、私がやっても良いんだよ?」
めっちゃニヤニヤしてるし。
「へー。でも俺178cmで結構ギリギリなのに、夢野なんか150無いから無理じゃない?」
「うっさいな!152だわ!」
どのみち届かないとか言いそうになったが、言ったらキレられそうなので、そのまま脚立に上った。
「ーーうし、終わったぁぁ!」
1時間半格闘した末、ついに作業は終止符を打たれた。
ま、フラグが折れてくれてないってことは?
「お、おい大丈夫か?めっちゃグラグラしてるぞ!?」
「大丈...ぶぅぅぅ!!??」
鈍い音が鳴ったあと、脚立が倒れる音が鳴った。
「大丈夫!?」
一番早く駆けつけたのは、夢野だった。相当焦っている。涙目だし。
「大丈夫...いっ!?」
右腕を支えにして起き上がろうとしたら、激痛が走った。
「その腕...!?」
肘から下が紫色に腫れ上がり、曲がっちゃいけない方に曲がっていた。さらに頭も触ると、血が出ていた。
「しかも右じゃないか!」
男子の先輩は、心配の声をあげるが、問題はない。
「俺、利き手左なんで...」
「とにかく、救急車を呼んでくれ!」
この日、人生で2回目の救急車を体験した。

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