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*7*
2話 言いたくない過去
それは、中学3年の2月。
俺はいたって普通の私立中に通う学生だった。
「なぁ叶望、一緒に帰ろうぜ。」
「あぁ」
可もなく不可もない平凡な生活だった。
だから、今思い返しても視界は鮮やかだったと思う。
受験も友達と前期で合格していたので、勝ち組の方だったと思う。それは夕姫も同じだった。あのとき自分が、絶望の淵に立たせられるとは思わなかったから。
「なぁ、兄ちゃんたちお金持ってない?」
帰宅途中、チンピラどもに絡まれてしまった。
すると、友達が果敢に果敢に言い返した。
「すんません、俺たち急いでるんで」
「おいおい待てよ。まさかとは思うけどさぁ、持ってないわけないよねぇ!?」
友達は後ろへ吹き飛んだ。何があったか理解できなかったが、殴られたと確信した。
それだけでは終わらず、チンピラは馬乗りになって顔面を殴り続けた。何度も、何度も。
それから友達が動かなくなった頃、チンピラは刃物を取り出した。体が動かない、ここで戦慄していたって何にもならない。分かっているのに動かない。
「これで死んじゃうねぇ!!」
友達へ刃物が勢いよく下ろされる。何度も、何度も。肉を突き刺す嫌な音と、目の前に広がる鮮血。友達は抵抗することができなかった。
俺のなかで、何かが千切れる音がした。
「くそったれがぁぁぁ!!!」
力の限り叫んで殴った。もう1人が襲いかかって来るが、俺は肘で殴った。
そして血のついた刃物を突き刺そうとした。
「ーーのぞみん!!」
我に帰った。
幼馴染みで親友の夕姫の声がしたから。
「もう、もうやめて!」
そのあと、俺たちは病院へ運ばれた。チンピラは逃げていったが。
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