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【竹取物語】二次小説【羅生門】  ――完結!
作者: ryuka ◆wtjNtxaTX2  (総ページ数: 11ページ)
関連タグ: ryuka 竹取物語 羅生門 二次作品 近代文学 古典文学 古典 二次創作 短編 平安時代 
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10~

*10*



 今晩は満月、明るい夜。
 千年経っても変わりはしない、あの月を思い出して。
 
 禁じの薬を口に含んだ罰でも、この月を永久に仰げるのならば、それでもいいかなと思った。
 
 とあるさびれた街の、とある豚カツ屋さん。
 とある高校の、とある卒業生たちの、懐かしの同窓会。
 ほんの少し前、彼女たちにとってはだいぶ前、僕は、この高校の先生としてしばらく働いたのだっけ。

 ひゅう、と。寒い風が吹く。僕は今、人っ子一人通らない、道路の真ん中に立っている。正面には、例の豚カツ屋さん。
 店の小さな窓の格子から漏れる光が、夜の寒空にまぶしかった。
 よく目を凝らして店内を見れば、たった今眠りから覚めた乙海さんと、鬼塚君が、驚いたように顔を見合わせて何か話し込んでいた。そんな彼らを見て、少し過ぎたイタズラをしてしまったかな、と一人で愉しい気分になった。


 いまは平成、満月の夜。
 果てぬ恋の過ちに、禁を犯したその罪に、人外の道を歩めば一千年。



 ……こんなになった今でも、ぼくは彼女の月光に、また懲りずに恋をする。





(竹取物語編、完結。)



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