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+*記憶ノ眼鏡*+【完結しました*^ω^*】 
作者: ☆RETAS☆  (総ページ数: 12ページ)
関連タグ: 死にネタ 爽やか小説が此処にある シリーズ物・・・を目指す作品 
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10~

*2*

☆七星様☆

クリックありがとうございます!
尊敬!?は、初めて言われた・・・っ。ほっぺつねっても痛ぇ!
ですが自負はしませんぞ!私の文は中の下。もっとお上手な方がいらっしゃいます。
でも、小説書くのはやめられないんですよねwww。女神さま第二号とさせていただきます。
リストにカキコカキコ♪ありがとうございました。

ところで余談ですが、七星、と聞くとドラゴンボールを思い出してしまいました。なんかすいません。スルーしてやってください(汗)。

ケースにメガネを入れると、不思議なほどよく似合う。
この色だとミスマッチだと思っていたが、ちょっと驚いた。

「哩ー中学校生活についてのアンケート来てるけどー」

「今からやるー」

めんどくさ。いいじゃん、アンケートなんて取らなくったって。
問題点あげてもそれを改善しようとはしないんだから。
やるだけ無駄。そんなことやる暇があるなら、もっとマシな問題をつくれ。

適当に欄を塗り潰してゆく。丸い欄が黒くなってゆくのを見ていると落ち着く。百回やっても飽きない。多分。

もう夜の九時だ。さっとシャワーを浴びて髪をとかし、就寝した。


 その夜、夢を見た。

真っ白な、【無】の世界。
この世界には自分一人しかいないような

寂しさ、孤独、虚無感。

いっぱい混ざってて、もう何が何だか分からない。

奥から、女の子が歩いてきた。
霧に覆われていて、顔が見えない。
バランスの取れた体型で、メガネをかけている。

「哩…哩…。」

優しげで、どこか懐かしい声色。
聞いただけで泣きたくなる。

「ごめんね、本当に。」

目の前の人物は、ただただ私に謝っている。
なんで謝るの?私に何かしたの?

「本当に、本当に…ごめんな哩。」

「あなたは…。」

「うちね、あんたのし……」
し、何?なんなの。教えてよ。いかないで。
何か言ったけれど聞き取れなかった。
意識が遠のいてゆく。女の子の影が遠くなっていく。
わけのわからない悲しさについに涙がこぼれた。


目の前が真っ暗になってすぐ、目が覚めた。
耳のひだには涙がたまっている。知らないうちに泣いていたんだろう。

横を見ると、お母さんが座っていた。

「大丈夫?しんどくない?」

「え?」

「あなた、38度も熱があったのよ。」

そう言われてみれば、なんだか、体中が痛いし、自分が火になったみたいに熱い。

「今日は学校、休みなさい。先生にも電話しておいたから。」

「ねぇ、母さん」

「なぁに?」

「お母さんの知り合いでさぁ、バランスいい体型でさ、メガネかけてて、優しい声色の女の子。誰でもいいから…しらない?」

お母さんの肩が大きく跳ねた。顔は化け物でもみたように歪んでいる。

「さ、さあ?お母さんは、しっ知らないわ。あはは。」

この数十秒間だけで、顔に大きなな汗の粒ができていた。
母さん、今何か隠し事をした。
いったい何を隠しているの?。家族なのに、話してくれたっていいのに。

「ほ、ほら! 寝てなさい。何か食べる?」

「いいや。おなかすいてないし……。」

「でも、何か食べなきゃ。あ、じゃあ、おじや作るから。ちょっと待っててね。」

そういって部屋を出て行った。
時計を見ると、もう10時半だ。しんど……。もう寝よう。
そして、もう一度眠りについた。



その頃、ドアの後ろでは母さんが私が寝たのを確認していた。

「あの事だけは、あの事だけは言えない。言えば、あの子が壊れてしまう……っ。」

張り裂けそうな胸の鼓動を抑えて自分に言い聞かせるように吐き出した言葉は、酷く苦しそうな声なのだった。

ウチは、小学3年生の23日あたりから三日間の記憶と、何かはわからないが何か大事なものの記憶がない。
断片的にどんなのだったかは思い出せるのに、それ以外を思い出そうとすると頭がズキンと痛む。

海に行ったあの日、私がおぼれてて慰めてくれた。
大事なキーホルダーを一緒に探してくれた。

とても大事な思い出。それが誰だか思い出せない。
何で思い出せないんだろう。大事なものなのに。

でも、思い出してしまえば自分が壊れてしまう気がした。
今までためてきたものや、やってきたこと。心や自分の身が、栓を抜いた湯船のように無くなってしまう気がする。

このまま考えれば出て来る気がするのに、途中で恐怖が押し寄せて来る。
怖い、こわい、コワイ

そんな言葉が頭の中を渦巻いていく。
疲れた。ただでさえ熱で頭が痛いのに、こんなこと考えてたら更に頭痛くなってきた。
早く戻って来てよ。記憶の中の誰かさん……。

とん、とん、とん……。

階段を上ってくる音で目が覚めた。
ドアが開くとお母さんが器とレンゲを持って出てきた。

「具合どう?」

「うん。寝たから少し楽になった」

「食べる?」

「お腹減ったぁ〜。食べる」

大げさに言ってみせるとお母さんはくすくすと笑っていた。
レンゲを使って食べさせようとしているのを阻止した。

「自分で食べるから。赤ちゃんじゃないんだから」

そうね。といって器とレンゲを渡された。
まだ出来立ての様で、湯気が上がっている。

「熱ッッ!!」

一口食べてみると、かなり熱い。
涙が出てきた。熱すぎて味がわからない。

「ぐあああああっ」

「銃で撃たれたんじゃあるまいし」

「……ところで母さん」

「なぁに〜?」

「さっき、何か隠し事したでしょ。」

また、肩が大きく跳ねた。やっぱり、何か隠してる。
家族なのに……。何で隠さなきゃいけないの?

「な、なんのことかし……。」

「母さん」

母さんの言葉をさえぎる。

「何で言ってくれないの? 家族にも言えないの?」

母さんは黙り込んでいる。もう汗びっしょりになっていた。

「……にか……てよ」

「え?」

母さんの顔が驚いたようになる。

「何か言ってよ!!!!」

そういって壁をブッ叩いた。自分でやっといてなんだが、かなり痛い。

「何で隠さなきゃいけないの? 誰かに言ったらいけない事なの? ウチがそんなに信用できない? 絶対言わないから、おしえ…。」

「違うのよ! !」

今度はお母さんにさえぎられた。ウチに負けないぐらいの大声で。

「これは、あなたの為なの!あなたに言ったら、あなたは自我を保てなくなる…。壊れてしまうの。そんなの、母さんは見たくない…。」

そういって崩れ落ちた。泣いているんだ。そう、悟った。
お母さんの肩を支えた。

「ゴメン。取り乱しすぎた。もうこの事は聞かないから。」

そう言うと、お母さんはほっとしたように笑った。

「多分…、ね。」

自我を保てなくなる。壊れる。なんのことだか理解できない。
「もうこの事は聞かないから。」とは言ったものの、やはり気なってしょうがない。

「もう遅いし、ウチ寝るね。母さんも早く寝た方がいいと思う。」

母さんが部屋から出ていくと、残っていたおじやを全部一気にかきこんだ。

電気を消すと、そのままベットに潜り込んだ。


暗闇の中、聞こえて来るのは時計の音と消防車のサイレン音だった。

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