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*7*
どれだけ泣いただろう。すっかり日が昇ってしまっている。店の中を見回してみるが、おじいさんの姿はない。
店にも蜘蛛の巣が張り、誇りがそこらじゅうを舞っている。
あわてて店の外に出ると、木でできたお店が今にも壊れそうなボロ屋になってしまっている。
夢…?
「ここもよく取り壊しにならないわねぇ。」
店の前を通りかかったおばさんに問いだした。
「おばさん。ここって…。」
「ああ、ここねぇ。もう10年前ぐらいからこんな感じなのよ。噂じゃ、ここに住んでいたおじいさんが死んじゃってそのまんまって聞いたけど。」
10年前?嘘だ。うちはついさっきまで、おじいさんと一緒にいたし、店の中もきれいだった。
「あ…りがとうございました…。」
おばさんにお礼を言う。
じゃあ、うちは?なんでおじいさんが?
信じられないけど、うちはタイムスリップしたことになる。
頭が混乱している。一度にいろんなことが起きすぎた。
重い足取りで、家に帰った。
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