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*8*
少し曇っていた空が晴れてきた。
自分の気持ちと反比例するようにさんさんと光が降り注いでいる。
「ちょっと、あんったどうしたのよ! ?」
すっかり泣きはらし、腫れた目で返ってきたうちを見て母さんは驚いているようだ。今、何が起こったのか話す気力も失っていた。
一人になりたかった。少し、考える時間がほしい。
大丈夫だから、母さんにそう言って自分の部屋に戻った。
良く考えて見れば、今はまだ午前9時なのに赤い光が窓から差し込んでいるのはおかしかった。タイムスリップした、という事実を受け入れるしかない。
もう、疲れた。そのままベットに倒れこんで寝てしまった。
どれだけ経っただろう。
今度は真っ暗で、【独り】という感情で溢れている。
何も見えない。何も感じない。何もできない。
できることといえば、息をすることと臓器を休みなく動かすことのみ。
うちは…見捨てたんだ。名前は思い出せない。友達を。
― そんなことない ―
誰?
― 見捨ててなんかない。あんたは強く、優しい子 ―
でもうちは、友達を放って一人で逃げた…。卑怯者なんだ。
― あんたがいい人だっていうのは、あたしが一番よく知ってるよ。流れに身を任せて…思い出してごらんよ ―
そう言って、遠ざかって行く人影。まって、また私を独りにするの?行かないで!お願いだから…。
お願い……。
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