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君とあの時あの場所で〜3ヶ月の恋物語〜
作者: 秋桜 (総ページ数: 23ページ)
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作者: 秋桜 (総ページ数: 23ページ)
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*2*
湊谷が走って行ったのは山と山に挟まれた海だった。入り口はたった一つしかなく、見つけられた者はあまりいない。海からも泳いではこれず、未知の領域なのだ。
でも、湊谷は3年前に入り口を見つけてから、毎日のように通っている。このことは誰にも言っていない。秘密なのだ。実際湊谷も、他の人に出くわしたことはない。
「はぁ〜落ち着くぅ〜」
湊谷は、未知の領域に足を踏み入れた。
――パシャン
「ん?誰かそこに…」
湊谷がのぞいた先には、一人の麦わら帽子を被った少女がたっていた。湊谷と同じくらいだろうか。彼女は足だけ海に浸かっていた。
そこに風が吹き、彼女の帽子が湊谷の足元に落ちてきた。
彼女は辺りをきょろきょろと見渡し、湊谷の足元に自分の帽子が落ちていることに気付き、こっちを向いた。彼女はとても美人だった。髪が腰ぐらいあり、綺麗になびいていた。彼女はこちらに歩いてきた。
「あのぉ…」
彼女は湊谷に話しかけてきた。でも、湊谷は少女に見とれていて、気付いていない様子だ。
「あの!」
少女は湊谷を覗き込みながら言った。
「うあああぁぁ!!」
湊谷はその場に尻もちをついてしまった。
「えっと…大丈夫ですか?」
少女は湊谷に手を差し伸べてきた。
「えっだっ大丈夫です!」
湊谷は差し伸べられた手を使わずに、自力で立ち上がった。
「そう…」
彼女は差し伸べた手を握り締めて言った。
「あっ帽子ですよね。はい」
湊谷は足元に落ちていた麦わら帽子をひろって少女に手渡した。
「ありがとうございます。…ここの島の方ですか?」
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