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とある冷気の絶対零度
作者: 赤鳥さん  (総ページ数: 7ページ)
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*6*

:4

男「おお、戻って来たか」
敦「ああ、世話かけたなおっさん」
男「そんなことは無いさ、俺も君の親みたいなものだからね」

その時、「ガララ」と病室の扉が開き、見覚えのある少女が飛び込んできた。

華奈「敦っ!」
敦「華奈か、ってグフッ」

華奈は勢いのまま敦に抱き着き、そのまま泣きじゃくっていた。

華奈「敦、探したんだよ!今まで一体どこに…」
敦「と、とりあえず離せ、死ぬ…」
華奈「あ、ごめん敦」
敦「まったく、アンタの娘は落ち着きが無いな?おっさん?」
華奈「え?お父さん?」

どうやら敦の事しか眼中に無かったらしく、敦に言われてやっと気付いたらしい

華奈の父「やあ、華奈」
華奈「お父さん、なんでここに居るの?て言うかなんで敦の居場所知ってるの!?」
敦「俺がお前から逃げるために手を貸してもらってたんだ」
華奈「え?お父さんが、え、どういう事?」
敦「取りあえず落ち着け」
華奈「あ、うん。え?と言うことはお父さんが敦にアタシの動向を敦に伝えてたから今まで会えなかったの?」
華奈の父「そう言う事になるな」
華奈「え?えぇ?えええええええええええ!?」
敦「病院では静かにな」
華奈「あ、うん。でも、えええええええ!?」
敦「あーもうるせぇなぁ」

と、言いつつ敦は華奈の頭を掴んで引き寄せ、そのまま華奈の唇に自分の唇に重ねた。
いわゆる、キスと言う奴である。

華奈「!?、!!?」
華奈の父「おやおや…」

唇を離すと、顔を真っ赤にしている華奈に敦は話しかけた。

敦「どうだ?落ち着いたか?」
華奈「な、な、ななな…」
華奈の父「じゃあ、年寄りは去るとしますか」
敦「おう、じゃあなおっさん」
華奈「え?ええ!?」
敦「まだ、落ち着かないのか、なら…」

敦は「よっ」と体を起こし、華奈を抱きしめ、耳元で囁いた。

敦「もうお前に守ってもらう必要はない、だからこれからは俺がお前を守る、もう2年前の様にお前を傷つけたりはしない」

やっと華奈は落ち着いたようで、穏やかな声で、そして目に少し涙を浮かべながら。

華奈「うん、ありがとう」
敦「礼を言う必要はない、これはアイツとの…京助との約束だからな」
華奈「うん、よかったね敦、本当に…」

二人はしばらく抱き合っていたが、そのうちカエル顔の医者がやってきた。

冥土帰し「男女の友情を育むのはいいが程々に頼むよ」
華奈「って、うわぁ!ちょ、敦!って寝てるし!」

敦はいつの間にか人の温かさに眠ってしまっていた。

華奈「敦、起きて!敦!」
敦「ん?ふぁ〜あ、おっと、寝てたか」
冥土帰し「さて、すまないが面会は終わりだよ」
華奈「はい、わかりました」

華奈は出口で手を振って帰って行った。

冥土帰し「にしても、やはり君の能力は不思議だね、能力の突然変異なんて今までに前例はないからねぇ」
敦「ああ、この能力は人殺しの烙印だったからな」
冥土帰し「なるほどね、君のパーソナルリアリティはそこにあるわけか」
敦「だが、今はその烙印は勲章に変わったからな、発火もできるようになった」
冥土帰し「これは驚いた、名のある研究機関に行けばそれなりの報酬が得られるレベルだよこれは。まあ、君にその気はないようだけどね」
敦「ああ、俺はアイツを守っていくと誓ったんだ、そんな事の為に能力は使わねぇよ」
冥土帰し「ま、僕もその方がいいと思うけどね。で、体の方だが特に問題は無いようだね。今日にでも退院できるよ」
敦「そうか、世話になったな」
冥土帰し「それにしても、彼と同じ原因で病院に来る人がいるとは思わなかったねぇ」
敦「同じ原因?」
冥土帰し「第1位だよ」
敦「そういや、一回出くわしたっけか、あの時も京助が出てきたが」

カエル顔の医者は「それでよく生きていられたねぇ」と呆れるが、同じLEVEL5なのだから生き残る事ぐらいはできるだろう、それに狂助の戦闘能力は目に余るものがある。

冥土帰し「まあ、彼も?彼?にやられてからは少し変わったようだしね」
敦「そうか…」

敦は、第1位も同じような闇を背負っていたのかと考えると、すこし不思議な気持ちになった。

:5

華奈「ねぇ敦、次はどこに行く?」

退院から一週間後、敦は華奈と学園都市の商店街を歩きまわっていた。

敦「お前はしゃぎすぎだ、一応俺は病み上がりだぞ?」
華奈「病み上がりってもう一週間も経ってるじゃないの、会えなかった分めいっぱい遊ぶんだから」
敦「お前はホント落ち着きが無いなぁ」

敦はあきれ顔で言った。そのとき不意に声がした。

当麻「あ、お前!」

そこに居たのは先日、京助を打ち破った男、上条当麻だった。
だが、敦は特に気にせず、歩き出した。そしてすれ違いざまに

敦「感謝してるぜ、反則野郎」
華奈「ちょ、敦ー!まってー」

敦は清々しい顔で、歩き出した…

END
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さて、お楽しみいただけたでしょうか?

何分、初めて小説を書いたものですので、あまり自信はありません。

今後、敦と華奈をメインにした外伝を書くつもりですが、執筆は

自分の気分次第なので、あまり期待はしないで下さい。

では、また縁があればお会いしましょう。

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