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*7*
…いや、彼は消えては、いなかった。
実際には、図書館のイッチバン奥の、イッチバン端の、
イッチバン隅っこの方に素早く、身をひそんでいたのだった。
本当は、消えようとしたのだが、ひそんだあとで、
自分の持ってきたオカルト本を忘れたことに気づき、
どうにもこうにもというわけなので、
さっきの少女が去るまで、待とうという、情けない選択になってしまったのだ。
ああぁ………。なんという失態…。
こんな姿をアイツが見たら、ボクは、どうなってしまうんだろう…
そんなことを思いながら、チラっと横目で向こうをみやると、
さっきの少女が
その本に気づき、パラパラとめくっているではないか。
まじかよ…
彼女は、無我夢中で読み進めると、何事か、はっとして、
こっちを見た。
ヤバい!!
ボクは、素早くもっともっと、隅っこに動いて、
しゃがみこんだ。
ボクと、ボクの本か、無事であることを祈りながらも、
心の中で、うずくような感覚に気をもんだ。
とにかく、いち早くこの状況が終わってほしい。
そんな気持ちでいっぱいだった。
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