完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

美少女転校生はいわくつき!? 【オリキャラ募集中】
作者: ヒナ  (総ページ数: 8ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

*3*

〜2〜  謎の少女現れる。


それは、転校生を紹介してからほんの40分くらい前の事。
俺、山本颯太は昔から霊とか、妖怪とか見える力?がある。
そんなこんなで15年とちょっと生きてきたけど……やっぱ

「こええぇ…」

独り田園風景の広がる通学路を歩いていた。
学校までようやく半分を切った辺りのころ、全身に寒気が襲った。
これは、霊が近くにいるという警報だ。
サッとあたりを見回すが、おぞましい霊の姿はなく。
「あいたたた…」と転んでいる女子高生がいた。
ばっちり目が合ってしまい、そのまま、ということもできず「大丈夫?」と声をかける。

「す、すみません。……」
と彼女は言い俺の手に捕まる。そしてジィッと顔を見つめる。
何か?と言おうとしたとき彼女の口が三日月形にゆがむ。

「あなた、私が見えるんだぁー?」
ヤバいっ、と身を引こうと思った時にはすでに彼女は背中にまで手をまわしていた。
そして口を大きく開けて首元に噛みつこうとしたとき…

――ヒュゥン――

何かが風を切る音が聞こえた。
それと同時に肩にかかる微かな重みと冷たさがフッと消えた。
その場にしりもちをつきながら何事かとあたりを見回す。

そして、晴れ渡る空に見つけた。
快晴の空に逆らうように漆黒のスカートを風になびかせる少女の姿を…

「……っ!」
一瞬にしてたくさんの疑問が頭に浮かぶ。
なぜ浮いている?なぜコスプレをしてる?なぜ大きな弓を持っている?
そんな間抜けな思考を言葉にならない声がさえぎった。

「うわああああああああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!」
それは先ほどの女子高生の霊の声だった。
右肩に大きな矢が刺さりそこから得体のしれない液体があふれ出す。
とっさに逃げようと足に力を込めるが、動かない。
霊はゆらゆら立ち上がりこちらに三日月形の笑顔を見せる。

―――やばいっ
二度目のそんな感情は、浮遊感によってまたかき消されてしまった。
ギュッとつぶった瞼をゆっくりと開くとそこには田園風景が…

「って浮いてる!?」
そう、俺の脚は宙を掻き味わったことのない浮遊感が全身を襲う。
なぜか右手には仄かなぬくもりがある。
そちらに目をやると先ほど大きな弓を持った少女がいた。
まぁ、俺が捕まっているわけだから下から目線で…

「・・・ッ!」
スカートの中が……と思ったが彼女はスカート同様漆黒のタイツをはいていた。
少々落胆…なんてしてない。断じて。

「うるさい。黙れ」
そんな凛とした声が上から降ってくる。
「思ってることがダダ漏れだ。阿呆」
―――なんですとぉ!?
内心そんなことを叫んでいると「ふふっ、あっはははははははっ!!!」
とまた叫び声に似た笑い声が響いた。

「なんだ、なんだ。見える人間が2人も。しかもどっちもうまそうだぁ…」
ニタリと笑うと、ものすごい速さでとびかかってくる。
フッと浮遊感から解放されたものの一気に落下し始めた。
叫びの声は喉から漏れることなく乾いた空気だけが口から出た。
スッと地面に降り立つと俺の右手を放りだした。

そして、無の空間から長弓を出すと角度を変えて飛び掛かってくる霊めがけて放つ。
霊はそれを難なくかわすとまたニタリと笑った。

ふん、とちいさく鼻で笑う声が聞こえ彼女を見るがその顔はちっとも笑ってなく。
もう一度長弓を構え矢を放つ。
が、それは放たれた瞬間に千を超える矢となり霊めがけて飛んだ。

霊は声にならない叫び声をあげ、きらきらと消滅した。

「ふん、気をつけなさい……」
漆黒の少女はそんな言葉とふわっと舞う髪の毛の余韻を残し消えてしまった。

「な、何なんだ?」
そこで、遠くから小さく、でも確かにチャイムが鳴った。

「あ、ああぁぁぁ!!遅刻だぁぁぁぁぁぁっ!!」
先ほどのことなどは何処へ、全速力で学校へ向かった。

2 < 3 > 4