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美少女転校生はいわくつき!? 【オリキャラ募集中】
作者: ヒナ  (総ページ数: 8ページ)
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*4*



〜3〜  転校生の正体明らかに


という朝の出来事があった。
どう見てもあの少女は御影初という転校生だった。

「はぁ……」
シャーペンで頭をポリポリ書きながら課題に目を落とす。
今日は数学教師が体調不良で休み。
課題を次回提出という立派な授業が行われていた。

左斜め後ろ、その席が御影初の席だった。
転校初日にして盛大に眠っている。
くぅくぅと小さな寝息が聞こえる。

その表情は見えないが寝ている、ようには見えない。
ちょっとの間見ていると急にバッと顔を上げた。

「保健委員、いる?頭痛い」
唐突に立ち上がりそう短く言う。
確かに彼女の顔をさっきよりも青白い。

そう言えば、保健委員って…俺だ。
「お、俺だけど……」


小さな声で言ってみる。
すると彼女は冷ややかな瞳をこちらに向けて連れて行ってと言った。


教室を出てから数十秒。
現在、5階。保健室は残念なことに1階。
―――また1階から5階まで昇らなきゃいけないのか
などとぼんやりと考えながら歩く。

後ろの彼女はというと…
「・・・」
黙々と窓の外を眺めながら歩いている。
不思議な人だな、と思いつつまた前を向いて歩きだす。

少しして、先ほどまでの2人の足音が今は自分のしか聞こえない。
後ろを振り返ると窓の外の一点を見つめ立ち止まっていた。

「み、御影さん?窓の外何が……っ!」
絶句した。
なぜなら、いかにも邪悪そうな霊が校庭の隅でジィッと
体育をする生徒を睨んでいたのだ。

「あ、ぁ…」
声にならない声でおびえ、後ずさる。
が、彼女はそれをすることなくまだ見ている。
そして、俺のことを思い出したように振り返る。

「貴方も……見えるの?」
無表情な顔に少しだけ困惑を浮かべ訪ねてくる。
貴方も、やはり彼女はあれが見えている。

「え、うん。」
短く答えると、ぱっとまた無表情に戻ってしまった。
沈黙が続く。
が、それは小さな物音にかき消された。
「な、何してんの!?」
沈黙に耐えられずちらっと彼女を見ると窓の枠に上り今にも飛び降りそうな状態だった。

「消しに行く」
伸ばした手は彼女のスカートのすそを少し掠るだけだった。
落ちた、そう考えるよりも早く窓の枠にしがみついた。
恐る恐る下を覗くとそこには誰も居なくて。

突然校庭の方から風を切る音が耳に届いた。
バッとそちらをみると朝であった少女の格好をした人がが長弓を放っていた。

「み、御影さんっ!」
いてもたっても居られなくなり階段へ走る。
出来る限り全速力で走りようやく校庭へ出る。

そこには先ほどまで体育の授業をしていた生徒が全員倒れていた。
ごつい体の巨漢の先生までもが地面に伏していた

「お、おいっ!どうしたんだよ!!」
近くにいた生徒に話しかけるも意識が無い。
ドドドドッといくつもの矢が地面を突き刺す音が静かな校庭に響く

その途端奇妙な奇声とともに先ほどの霊が消えた。
「ふぅ……」
長弓をぱっと消すと髪の毛を後ろに払った。

「あ、あの御影さん…」
ゆっくり近づきながら訪ねる。
「い、今のは?」
フワッと髪の毛をなびかせながらズンズン近づいてくる彼女。
そして吐息までもがかかるほど近くに顔を寄せ小さくつぶやいた。

「……今見たこと誰にも言わないでね」
冷たい漆黒の瞳をギラリと光らせ、言い聞かせるような口調で。
そのまま立ち去ろうとしてしまう。

が、聞きたいことはたくさんある。彼女の腕を掴み引き寄せる。
「な、何?」
少し驚いたような顔をして睨む。
「俺も見たんだ。ちゃんと説明してくれ」
勤めて強気な口調で言ったが内心ドキドキバクバクだ。
そのまま数秒がすぎ、ゆっくり彼女が目を瞑りながらはぁと息を吐いた

「わかった、放課後。うちまで来て」

そういって校舎へと歩いて行ってしまった。




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