完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*4*
●-「斬る」
「そういえば、手首を斬るって言うやり方あったな」
リストカットだったけ?
そうゆうのにはあまり詳しくないからよくわからないな。
…調べておけば良かった…か?
俺は両利きだから別にどちらの手首でもいいんだけど…なんとなく左手にするか。
右手でナイフを持ち、左手の手首を出す。
口にハンカチをくわえて。
「ぐっ!!」
勢いよく、手首を斬った。
ドクドクと真っ赤な血が流れている。
あぁ…血ってこんなに赤かったんだっけ?忘れてたな…。
意識が朦朧とする。
そうか…大量の血が一気に出て貧血を起こしているのか…。
「うっ」
貧血を起こした俺はその場に倒れ込んだ。
赤崎…すまなかったな。俺に会ったばっかりに。
「でも…これで…許して…くれ…な」
遠くなっていく意識の中、そのまま深い眠りについた。
俺はてっきりこれが永久の眠りになると思っていたのだが――
○月□日
外の天気は大荒れだった。
巨大台風が接近し、住人は皆安全な場所に避難した。…俺以外は。
あの後。このまま死ぬんだと思っていた俺は、屋敷の管理者に発見され、救急車で病院に運ばれ生還した。
だが目を覚ました俺の前に待っていたのは怖い顔をした、警察。
警察は俺が赤崎を殺し、その罪に耐えかねて自殺を図ったのだと考えているみたいだった。
俺は何も話さなかった。
だってそう思われてもおかしくない状況だった。
それに確かに赤崎は俺が殺したようなものだ。
俺が居なければ、あいつは死ななかったはずなんだから。
処刑の日。
俺は電気椅子で処刑される予定だった。
だが巨大台風が来たせいで電力がダウンし中止になった。
そして電気椅子の代わりの処刑が
巨大台風によって滅ぶ街に独り残され死ぬ事だ。
この街には誰もいない。
皆安全な所に逃げて、新たな生活を始めている。
俺だけだ。過去に囚われたまま、人生を終わらせようとしているのは。
でもこれでいいんだ。
俺と言う存在をこの世界から消え去るにはこのやり方が一番いいんだ。
後悔なんてない。
短い人生だったけど、精一杯生きた。楽しかった。
父さん
母さん
赤崎
そして アオイ
色々迷惑かけてすまなかった
今日この日 死ぬ 事で どうか 許してほしい
さようなら――
処刑END