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恋愛童話 〜赤ずきん編〜
作者: メルヘン嬢  (総ページ数: 8ページ)
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*5*

4話
___コンコン、ガチャ
「お婆様。赤ずきんです」
「...おや、赤ずきんかい?」
「はい」
中に入り、テーブルに赤ワインを入れて、椅子に腰掛ける。
「..お婆様、今日はジャックさんという男性に会いました。」
「そうかい。どんな男だったのかい?」
頭にジャックの顔を思い出し、微笑みながら語る。
「とても優しい方でした。
それに、こんな私にプレゼントをくれました。後..」
「私は、ジャックさんの事を思い出すと胸がドキドキするし、また会いたい。この気持ちは、お婆様に教えて貰えた恋と言うものだったんですね..」
「..........」
お婆様は布団を被ったままで、喋らない。無言だった。
「お婆様?」
心配になり、布団をとる。
「えっ...?ジャックさんなんですか?」
「..........」
そこには、私の会いたかった人がいた。ということは、全部聞かれていたんだ..。
「お婆様は?」
「私が食べた。美味しかったよ」
よく見れば、お婆様のパジャマを着ていた。
かなりドス黒くなっている。
「私は、赤ずきんが思ってる優しい男じゃないし、人間ではない。」
「私は」
「狼..だ..」
____ザー、ザーッ
いきなり、激しい雨が降り出すと共にジャックは狼になった。
「..........」
..ジャックは狼。お婆様を食べた。
そして、私も食べる..。
やっと、やっと会えたのに..。でも。
「いいですよ。私を食べて..」
「えっ..?」
「私を食べる為にジャックさんは、ここにいるんでしょう?」
コクリッと縦に振るジャックさんに悲しいと思った。

でも、こんな私に優しくしてくれてありがとう。
花の冠をプレゼントしてくれてありがとう。
私に恋という感情を教えてくれてありがとう。

段々ジャックさんに近づく。
「じゃあ、私を食べて?」
___カタ
もう目の前。
でも、食べられる前に貴方にしたい事があるんです。
「.........!?」
「最後ぐらい抱きしめてもいいですよね?」
その大きな体を強く抱きしめる。
「..さあ、早く食べて?」
ジャックの大きな口が顔をかぶりつこうとしている。もう、食べられる。
(ジャック..、私は貴方が好きでした。)
最後にジャックへ微笑む。
ああダメです。涙を零したらダメ!
___ペロッ..
「えっ何で?」
痛みではなく、暖かい..。
何で、私を食べないの?
激しかった雨が止み、ジャックは人間へ戻っていく。
横に結んでいた髪が解いていて、緑色の目から涙が溢れ出ている。
涙?なぜ、貴方は泣いているの?
「私も赤ずきん..レミアの事が好きなのに、食べるわけないじゃないか..」
「えっ?」
好き?私が?
「最初、ばーさんとレミアを食べる気だったのに、あのレミアの笑顔を見た時からレミアの事ばかり考えてしまう..。これはきっと病気だと思っていたんだよ。でも、この気持ちは恋。」
「私はレミアが好きなんだ..!」
「........!」
___チュッ
ジャックは私を引き寄せ優しく唇、頬、目にキスをする。
「くすぐったいですよ..ふふ。
でも、嬉しいです。私も好きです」
「私もだよ。愛してる..」
ギュッと抱きしめらてジャックの髪から、いい香りがして眠気がする。
「ん?あくびしてるけれど眠たいの?」
「眠たいです..」
「じゃあ、寝てていいよ。
起きるまでずっと頭を撫でておくから..」
ポンポンと頭を撫でられてとても気持ちがいいです..。
おやすみなさい...。

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