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魔天使マテリアル 「涙のしずく」 【完結】
作者: マヤ  (総ページ数: 49ページ)
関連タグ: 魔天使マテリアル ファンタジー 
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「………」


周りをそっと見回す。

起き上がる者もいない。 声を発するものもいない。



…息遣いさえも、聞こえない。




   ―――わたし、だけ……




「…みんな…起きて…」




紗綾はその場に崩れ落ちる。






   わたし一人だけ生きていても意味がない



     みんな一緒にいてくれなきゃ、意味がないの






「…力を貸して……」





剣と、綾香の形見のペンダントにそっと触れる。









             「まだ、終わらせない」











剣を辺りに触れるようにそっと動かす。



すると、ふわり、ふわりと光が辺りを舞いだした。






   「……っ。お願い…」





ふらつきながらも、動き続ける。








     お願い、そばにいて 一緒に笑って










       「我、破魔の力を持つもの。力を与えよ…」








涙を流しながら、動き続ける。



足の感覚がだんだん無くなっていくのを感じつつ、動き続ける。







       「お願い…っ」






ふと、紗綾の涙のしずくが剣の宝石に落ちた。







   ―――パアアッ








       「―――!」









紗綾の目が見開かれると同時に、剣は前までと比べ物にならない光を発する。





「ん……」




「…みんな…!」





光がそれぞれを包み込み、みんながゆっくりとまぶたを開ける。






「…紗綾……?」



「しずくちゃん、波香ちゃん…!」





紗綾は思わず抱きつく。



その様子を、黎夜たちはうっすらと微笑みながら見つめている。








             「…一緒に帰ろう?」









       ―――今までの分、一緒に過ごそうよ みんなで笑って







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