完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*47*
「………」
周りをそっと見回す。
起き上がる者もいない。 声を発するものもいない。
…息遣いさえも、聞こえない。
―――わたし、だけ……
「…みんな…起きて…」
紗綾はその場に崩れ落ちる。
わたし一人だけ生きていても意味がない
みんな一緒にいてくれなきゃ、意味がないの
「…力を貸して……」
剣と、綾香の形見のペンダントにそっと触れる。
「まだ、終わらせない」
剣を辺りに触れるようにそっと動かす。
すると、ふわり、ふわりと光が辺りを舞いだした。
「……っ。お願い…」
ふらつきながらも、動き続ける。
お願い、そばにいて 一緒に笑って
「我、破魔の力を持つもの。力を与えよ…」
涙を流しながら、動き続ける。
足の感覚がだんだん無くなっていくのを感じつつ、動き続ける。
「お願い…っ」
ふと、紗綾の涙のしずくが剣の宝石に落ちた。
―――パアアッ
「―――!」
紗綾の目が見開かれると同時に、剣は前までと比べ物にならない光を発する。
「ん……」
「…みんな…!」
光がそれぞれを包み込み、みんながゆっくりとまぶたを開ける。
「…紗綾……?」
「しずくちゃん、波香ちゃん…!」
紗綾は思わず抱きつく。
その様子を、黎夜たちはうっすらと微笑みながら見つめている。
「…一緒に帰ろう?」
―――今までの分、一緒に過ごそうよ みんなで笑って
PR