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*13*
x話 <六兆年と一夜物語>
村は無くなり、化け物は、海の視える所に少年のお墓を作りました
化け物は、本当は本当は、少年の事が、好きだったと
あの日見た夕焼けは、あんなにきれいだったのに
今では、穢れてしまったよ、と化け物は呟きました
そして、化け物は、うたいます
「そして君が知らずに 幸せな灰になった後で
僕は今更 君が好きだって
『大人になりたくないよ』なんて大人ぶってさ
駆けた 少年の日
どうやら僕に訪れた 悪戯は
相当タチの悪い 不老不死のおせっかい
神様ステキな プレゼントをありがとう
なんて 到底 的外れな
幼い冗談の奥に 大事に隠した
片思いは 察してくれないんだ
追い越してく 戻れない憧憬
好きな人に さよならを
いつか見た夕焼けは あんなにキレイだったのに
恋なんて呼ぶには 穢れすぎてしまったよ
そして 君が知らずに 幸せな灰になった後で
僕は今更 君が好きだった って気付いたよ
百年前の同じ日に 君のおばあちゃんは
同じ事を言ったんだ
君の孫の曾孫の その最期に
僕はまた一人になる
移ろってく メトロポリスと
君の名に 花束を
いつか見た夕焼けは あんなにキレイだったのに
恋なんて呼ぶには 穢れすぎてしまったね
そして 血が流れて 世界が灰になった後で
僕は今でも ふいに君を思い出すんだ
誰もいない 枯れた世界で
悪戯の 意味を知ったよ
臆病 でも今なら言えるんだ
地球最後の 告白を
いつか見た夕焼けは あんなにキレイだったのに
恋なんて呼ぶには 遠回りしすぎたよ
そして 何もかもが 手遅れの灰になった後で
僕は今更 君が好きだって
君が好きだった って言えたよ 」
少年に、届くように大きな声で歌いました
歌い終わった後、化け物は
晴れ晴れとした、きれいな笑顔でした
<おわり>
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六兆年と一夜物語×地球最後の告白をでした