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*11*
俺が殺せるのは……たぶん、成人だけだ。
なんども、人の命を終わらせた。
終わらせた命の数は、計り知れないだろう。
……でも。
この雪田勇香を、この手で終わらせる。
引き受けてしまったから。
移動は、いつも歩きだ。
たとえ、青森から岡山までだったとしても。
バスやタクシーは、使わない。
なぜなら……
酔うからだ。
勇香のいるところに着いた。
そいつは……ビルの陰で、何かを見張っていた。
探偵ごっこか?
もう、夜も更けるような時間だというのに……。
声を掛けようとして、考える。
これなら、誘拐犯ごっこでもするか?
……。
よし、実行だ。
「こんなところで、何をやっているんだ……雪田、勇香ちゃん?」
聞こえているはずなのに、何も反応しない。
こいつ、盲耳か?
と思っていたら。
「……っ!」
右膝あたりに、激痛が走る。
「皐月、強志、さん……?」
膝に刺さっていた刃物を引き抜きながら、勇香が喋る。
「ああ、そうだ……お前、殺し屋か……?」
「え、え……。ふ、ふ、ふたつ名は、ひっ、『光の殺し屋』、よ」
こいつが!?
男だとばかり思っていたが、まさか、こいつが『光』だったとは!
「……偶然だな。俺の肩書は、『闇の殺し屋』だ」
驚きを、必死で隠した。
「えっ……!?」
勇香は、本当に驚いていた。
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