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*20*
さっきから、何とも言えない殺気が後ろから立ち上ってくるような気がする。
振り向いても、誰もいない。
このいすは公園の出口側を向いて設置されているから、雑木林の方から……?
「林の方に行かない?」
気がつけば私は、強志君に聞いていた。
「……いいよ」
どこからこの殺気がやってくるのか、知りたかっただけだけど。
林の中で見つけたのは……。
「「トモキ{さん/先輩}!?」」
「……あ、見つかった。また会ったな、強志、勇香ちゃん」
「どうして先輩がここにいるんですか!昨晩、きちんと断ったでしょう!?」
「え、強志君、断ったって何を」
「強志……お前、ちゃんとやってんのか?友好関係を深めるのはいつものやり方だが、この調子で出来るのか?」
「そ、それは……っ」
「強志君もトモキさんも、ちょっとストップ!」
「「……」」
「トモキさん、どうしてここにいるんですか?強志君、昨晩、何を断ったの?まず、この質問にそれぞれ答えて!」
「二人の様子を見るため。それ以上は答えられない」
「おっ、お前を、殺……やっぱ言えない!」
「まだまだ謎だらけだよ……」
深〜くため息をついた私は、もう一度質問する。
「トモキさんは、強志君の何ですか?」
「……一重に、先輩」
「だから、何の」
「……行動に移してもいいか、強志?」
「ダメです、やめてください!」
「分かんないってば!」
「……もう、問答無用。あと30秒で行動を開始する。30、29、28、」
「っ!勇香、逃げろ!」
いきなり強志君が公園の出口を指さした。
「何で?まだ私、何も分かってない!」
「いいから、逃げろ!知ることもできなくなるぞ!」
「だから、それってどういう意味!?」
逃げないといけないことは分かってる。
でも、それより先に好奇心が働いていて……。
「……トモキ先輩は、殺し屋だ!ターゲットが、今のところお前なんだよ、だから逃げろ!」
「!」
知りたい事の謎が全て解けて、林の奥の方へ逃げた。
「15、14、13、12、11、」
後ろの方で、トモキさんのカウントが聞こえた。