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*19*
勇香は、昨日と同じ場所にいた。
だから俺も、昨日と同じように話しかける。
「こんなところで、何をやっているんだ……雪田、勇香ちゃん?」
反応は、昨日と違った。
「貴方を待ってたの、強志君!」
加奈よりも、屈託のない笑顔だった。
―――こいつは、本当に殺し屋なのだろうか?
「そうだ、一緒に行きたいところがあるの!」
「……どこ?」
「近くの公園。奥の方に緑がたくさんあるところ!」
「ふうん。行くか」
「うん!」
公園に着くまで、俺たちは何も言わなかった。
お互いに、警戒していたのかもしれない。
「ここ!対象年齢未就園児だけど、私にとっては平和でいいとこなんだ!」
確かに、奥側には雑木林があった。
右側に遊具、左側に保護者用のいす、中央に砂場。
俺たちは椅子に腰かけ、喋り出した。
「今日さ、不思議な人に会ったよ」
「どんな人?」
「私たちより、少し年上って感じの人」
「名前は?」
「えっと……トモキさん」
「ぶっ!げほ、ごほ、ぐふっ!」
ペットボトルで持ち歩いている茶を吹出してしまった。
幸い、俺たちのほかに人はいない。
「え、強志君、大丈夫!?」
「ぐふっ……ぅ、大丈夫」
「そう?私、何か変なこと言ったっけ」
「ぜんぜん」
問題は、トモキ先輩が勇香に話しかけたこと。
世の中に『ともき』さんはたくさんいるだろうけど、勇香に話しかけたならまず間違いないだろう。
もし、今も勇香をターゲットとして見ているとしたら……。
―――勇香は、どうなってしまうのだろうか……?
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