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*紹介文/目次*
初めまして、ゴマ猫です。
コメディライトで3作目になりました。
読んで下さった読者様のおかげで、本作は無事完結する事ができました。本当にありがとうございます!
参照が5000を超えました! 読んでくださった皆様、ありがとうございます!
下の作品は過去に自分書いた作品です。
もし興味があったら、コメントいただけると嬉しいです。
コメントをいただいた作者様の作品は見に行くようにしています。ちゃんと作品見たいので、コメントを入れるのは遅くなる事もあります。
【俺と羊と彼女の3ヶ月】前回作品です。(リンクは上にあります)
【日々の小さな幸せの見つけ方】1作目です。(1ページ目にリンクあります)
【お客様】
珠紀様
朔良様
華憐様
八田きいち。様
七海様
夕衣様
妖狐様
由丸様
杏月様
オレンジ様
いーあるりんす様
はるた様
アヤノ様
蒼様
あるま様
――あらすじ――
高校2年生の冬、清川 準一(きよかわ じゅんいち)は、突如として深夜に自分の部屋にあらわれた不思議な女の子に出会う。彼女は準一の事を知っているようだったが、準一はまったく覚えがない。彼女の正体と目的とは……? それぞれの複雑に絡み合った運命の歯車がゆっくりと動き始めていく。
〜お知らせ〜
短編集始めました。
ここと同じ板で【気まぐれ短編集】というタイトルで書いています。基本的にストーリーはラブコメです。コメディが強いもの、ややシリアス要素が強いもの、色々な書き方で挑戦中です。
タイトル通り、気まぐれに見ていただけたら嬉しいです。こちらからどうぞ。>>121
【目次】
登場人物紹介
>>18
(こちらはネタバレを含みますので、ご注意下さい)
プロローグ
>>1
始まりの場所
>>8 >>13 >>14 >>15 >>21
疑惑の幽霊
>>26 >>27 >>28
清川 準一【過去編】
>>31 >>34 >>35
ユキと渚
>>36 >>39 >>40 >>41 >>42 >>47
先輩
>>51 >>52 >>59 >>63 >>67
揺れる心【綾瀬編】
>>71 >>73
疑問
>>74 >>75 >>78 >>79 >>80 >>83
>>84 >>85 >>88
眠れぬ夜は
>>89 >>90
悪意と不思議な出来事
>>91 >>94 >>95 >>96 >>99 >>100
>>101 >>102 >>105
ユキと紗織
>>106 >>107 >>108 >>113
それぞれの想い
>>116 >>117 >>118 >>122 >>123
>>124
過去の想いと今の願い【ユキ編】
>>130
出せない答え
>>131 >>134
素直な気持ち【渚編】
>>135
大切な君のために今できる事
>>140 >>141 >>144 >>147
記憶【綾瀬編】
>>157
約束の時
>>158 >>159 >>160 >>163
すれ違う想い【渚編】
>>164 >>165
ユキノココロ
>>166 >>167 >>168 >>171 >>174
エピローグ
>>176
あとがき
>>179
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~
*25*
【綾瀬編】
家に帰ってくると、全ての力が抜けたようにベッドに座り込んでしまった。何も言えなかった。
清川君……ううん、準一君に会うのはこの間が初めてじゃなかった。もっと昔、まだ私がこの街に来て間もない頃、私は準一君と出会った。
「……覚えて、いないんですね」
ベッドにうつ伏せになり、枕に顔をうずめながらひとりそんな事を呟く。ふと、昔の事を思い出す。
彼に会ったのは10年前、両親の仕事の都合で転勤が多く、なかなか一つの場所に居られなかった頃だった。そんな家庭環境だからか、私にはお友達も居なく、本に熱中する事が多かった。次第に外の世界に出るのが億劫になってきていたあの日。
お母さんにたまには外へ出てきなさいって言われて、しぶしぶ出かけた近所の公園。別に特別な物がある訳じゃない、隣町にある公園に比べたら本当に小さな公園。
「……私はそんな所にひとりで来た事がなくて、どうしたら良いかわからずベンチに座って空を眺めてたんですよね」
当時を思い出しながら再び呟いてみる。もちろん、誰も返事をしてくれる訳でもなく、静寂につつまれた部屋の中で私の声はむなしく響く。
その時でしたね。
快活そうな男の子が私に声をかけてくれたのは。
『良かったら一緒に遊ばない?』っと。そんな風に誘われた事すらなかった私は、急に声をかけられてどうしたらいいかわからず、オロオロしていると男の子は私の手を引いて少し強引に連れて行ってくれた。
今流行っている遊びとか、子供しか通れないような秘密のトンネルをくぐって色んな景色を見せてくれた。その頃から私の世界は色が生まれていて、外に出るのが楽しくなってきていた。
「……でも」
いつも別れはやって来るもの。今まで、ずっとそうだったから。わかっていたはずなのに、きっとそんな事も忘れてしまうくらいあの頃は楽しかったんだと思います。また両親の転勤のせいで、この楽しかった日々は終わってしまった。
「だから……でしょうか?」
私があんな事をしたのは。
もう一度会えるなんて思っていなかった。もちろん、会いたいとはずっと思っていた。会えて嬉しかった。
でも彼に会えてしまったから、今さらになって、まるで呪いのように私を苦しめる。これ以上近づいてはいけない。そう思いながらも、私は彼に近づいてしまっていた。
「あきらめが悪い……ですよね」
ゆっくりと起き上がって、窓のカーテンをそっと開けてみる。すると、先ほどまで晴れていた空が厚い雲に覆われていて、雲間からポツリ、ポツリと雨粒が落ちてきていた。
「明日、また会えますね。準一君」
時計の音しか聞こえないこの空間。私しか居ないこの空間。なんだか、今日は独り言ばかりです。誰も知らない、私だけの秘密をこの胸に隠して最後にそう呟いた。