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サトミちゃんちの8男子〜異常な日々〜 完結ありがとう!
作者: もも  (総ページ数: 206ページ)
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*29*

結「ここに来る前なんだけど…」
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あたしには、好きな人がいた。名前は、中埜勇。学校に入ってから知り合って、隣になる確率も、スゴク高くって。勇は、イケメンだし、スポーツも、勉強も良くできる。ま、男子にも、もちろん女子にも、人気があったんだよね。

で、あたしが勇を好きになったのは、1年の2学期。その頃には、勇は、1学期に増して、とてつもない人気っぷりだったの。たまーに下駄箱にラブレターなんかが入ってたりして。それを見た時は、あたしも渡してみよっかなー。なーんてね。でも、さすがにそんな勇気はでなくって。そこら辺はあきらめてたの。

3学期になると、バレンタインでしょ?20コはもらってたんじゃないのかなぁ。あたしもあげたよ。そうしないと、負けちゃう気がして。他の皆に。チョコをハートにしてみたけど、あの…ほら。好きって気持ちが伝わるように。でも、そんなの、わかってくれた感じはしない。

2年になると、お父さんの転勤が決まって、ここに引っ越すことになったのね。もちろん、皆との…勇とのお別れはつらかった。しょうがないって、自分に言い聞かせてたけど。無理だった。そんな気持ちにはなれなくて。結局、勇のこと、あきらめたんだ。

でも、ほら。あの…さっき天井から出てきた人、勇に似てて。きりっって決まった目と、ちょっと天然な感じと、声のトーン。なんか、勇みたいで、かっこよくて、目、あった時なんて、恥ずかしくなっちゃって。
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サ・カ「おおっ!」

結「なんか、ものすごく恥ずかしい…」

サ「勇君に似てるのは、犬山道節、通称ミッチーだよ。」

カ「その恋、カオルン、おうえんするぅぅ!!!猛アタックしないとね。」

結「カオルちゃん、燃えてるね。」

カ「カオルンでいいよぉ」

サ「あ。時間。帰る?」

カ「ほんとだ。やばい。怒られる。じゃ。お先〜」

サ「ばいばーい」

結「じゃあねー」

サ「結月ちゃんは、だいじょぶ?親、心配してない?」

結「…」
聞かれてしまった。今まで誰にも明かしたことのないことを。聞かれたくない、大事なことを。ふつうなら、「やばっ!」とか、「心配しないし、大丈夫。」とかだけど、あたしには、心配する親もいない。

サ「どうしたの?」

結「やめて。」

サ「え?」

結「やめて。やめてよ!聞かないで!!そんなこと!親のことなんか、聞かないで!」

サ「ご、ゴメン。」

結「…ゴメ。あたしも帰るよ。じゃ。」

サ「あ、うん。玄関まで送るね」




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