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作者: もも (総ページ数: 23ページ)
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*16*
使用人「義成公様。八犬士を連れてまいりました」
義成公「お前らは下がっておれ。八犬士よ。すだれをくぐってくるがよい」
信乃「失礼します…。あの…義成公様、どのようなお話でしょうか…?」
義成公「おお。よくぞ聞いてくれた。実はな、浜路が素晴らしい案を出してくれたのだ」
信乃「はっ、浜路が!?」
現八「信乃。いくら幼馴染の記憶があろうと、今は浜路姫様、と呼ぶ立場なのだぞ」
信乃「そうだった……。申し訳ございません。義成公様」
義成公「いやいや。別に、どう呼ぼうと大丈夫だ。お前ら八犬士と、わが娘たちは、結ばれる結果となるのだからな」
信乃「いや、だから、義成公様」
壮介「信乃っ」
信乃「…」
毛野「それで、義成公様。そろそろ本題に」
義成公「ああ。そうだな。それで、私が言いたかったのは…」
八犬士「…」
八犬士たちは、気を引き締めた。なんせ、義成公が、どのようなことを考えていたのか、そして、浜路が提案した考えとは、どのようなものか、気になっていたのだから。
義成公「まあ、そう固くなるでない。で、浜路が提案した案は、このような…」
と、義成公は話だし、浜路の素晴らしい案―定期的に城に戻ってくればよいのではないかという案―を、八犬士たちに淡々と話し出した。
義成公「―と、いうことなのだが…どうだろう、この話は呑めるであろうか。これならば、私もよいのだが。あとは、お前らが良いというか、断るか、だけだ」
………………長い沈黙………………
子文吾「俺は、それでいいぜ」
新兵衛「俺もー」
道節「おっ、俺もっ!」
現八「僕も、それでいいです」
大角「私もそれでいいでござるよ」
壮介「俺も一緒」
毛野「一緒でーす」
信乃「…」
義成公「信乃、お前は、どうだ」
義成公は、信乃に向かって、優しく、ゆっくりといった。だが、当の信乃は、相変わらず、口をつぐんだままだ。その時。
壮介「そう固く考えるなよ。なっ」
毛野「そうだよ。少しの間だけでも、やってみよう。ね」
と、口々に言いだした。
信乃「………か」
道節「ん?」
信乃「皆さんは…皆さんはどうしてそうすぐに、簡単に決めてしまうのですかっ!!?もう少し、考えたりしないのですか…っ」
他「…!」
信乃「皆さんは知らないでしょうけど。まあ、皆さんが知る由もない話です」
信乃は、ゆっくりとと話し出した。
信乃「これは、僕の父さんと、義成公様が中心となる話です。義成公様がいる前で話すなんて、おかしいですね。きっと。というか、第一最悪です。ですが、話しますね。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
僕の父さんは、僕同様、名刀村雨丸を、義成公様に返したがっていました。実は、一度父さんは村雨丸を返したのです。そして、義成公様から、素晴らしいお役目をもらいました。そして、城をもらい、住んだのです。
そして、一年がたちました。父さんは、幸せな日々を送っていました。ですが、その日を境に、きっぱりと、人生が変えられてしまったのです。