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*2*
とりあえず、学校まで来てみたものの、やはり入れるハズがなくて。
再登校指導を喰らった赤城美嘉さんでした。
・・・はぁ。
ほんとどうしよう。もう!入れないなんてほんと馬鹿にも程があるよね、わたし。
まぁどっかでなんか食べて時間潰して家に帰ろう。アイさんはもう少しで仕事だし。
「再登校指導くらったの?」
「え?ーーーうん」
後ろから声がしたので振り向いて見ればとても小柄な可愛い女の子がわたしを見ていた。
制服からしてうちの学校だとわかる。
こんな可愛い子いたっけ?うちの学年ぽいな。まだ一年生に見える。
「そうだよ。一年生だもん。わたしね、麗。れいって読むけどルリでいい!」
「ルリ・・・?さん?」
て。なんなの?この子。初対面だよね?わたしと貴女って。礼儀って知らないのかな。
・・・でも、この子、どこかで・・・?
「ふふ。水無月麗・・・だよっ。知ってた?」
「知らなかった・・・けど・・・?」
物語はここから始まる。
**************
『ひゃはははははははははっ!!』
ーーー!
学園の校舎外から声がしたーーーと言うよりも叫び声がした。
なに?女の人がーー叫んでいた?
いや。あれは笑い声だった。
甲高い声がした。
怖いな・・・やだ・・・。誰だろう?
「あ、ねぇカオルくんもう帰るの?」
教室の一番端の窓側の席に座るのは葵くんーーーカオルくんだった。
カオルくんはゆっくりとわたしの方を見て、優しい顔をした。
そして学園指定のバックを手に取るとわたしに言う。
「一緒に帰る?」
「えっ、うんっ。ね、ねぇ!?い!一緒にどこか寄ってかないかな!?ってやだよねっ!?うん!ごめん!!忘れてよ!ごめん!ごめん!」
カオルくんはクスクスと笑った。
ーーーっう。
恥ずかしいなぁ。そんなに笑わないでよ〜っ。
カオルくんはいいよ、と一言言い、教室を出た。
そしてわたしも追うように教室を出た。
カオルくんはお腹すいてたりするかな・・・?
たしかロールヤル駅のすぐのところにケーキが、美味しいと有名なカフェがあったはずだ。
それに誘ってみることにした。
「・・・カフェ?別に良いよ?美味しそうだね。美嘉甘い物好きなんだね」
「う、うんっ!」
『あれあれぇ?なぁにしてるの?ルリも混ぜてよ』
「ーーー水無月さん・・・?」
『やだなぁ。ルリだってば』
最近の水無月さんは変だ。
まえの水無月さんはすごく、静かなこだったはずなのに最近ではずいぶんフレンドリーだし、元気すぎるくらい元気だ。
性格が明るくなった。
性格ってそんなにすぐ変わるものなのかな・・・。わたしも性格直したいなぁ。
ハーフアップの髪にしていた。
珍しいな、と思った。
いつもはおろしてるだけなのに。
『ねぇ、葵。ルリも混ぜて?』
「・・・美嘉が、いいならね・・・。」
「わたしはべつに・・・っ!」
断れない。
たしかにすっごく苦手だけど・・・っ!!
でも!やだー!とかは言えないよ!?
だってこの人は・・・カオルくんの大切な幼なじみ・・・水無月麗さんだもんね。
無理だよ。
『ひゃははっ!ありがとう!じゃあルリ、お財布持ってくるねッ☆』
「・・・うん」
走り去る彼女を前にわたしはなんとなくカオルくんと顔を合わせづらくなった。
やな子だと思われたかな・・・。なにか変だったかもしれない・・・っ。
うう・・・。
「ごめんね。ルリが一緒で。悪いこじゃないんだ。すごくいい子なんだよ。ただ、嫉妬深いところがあってね・・・、でもありがとう・・・美嘉」
「ううん」
そんな顔で言われちゃなにも言えないよ。
カオルくんが、いいなら良いかって。思っちゃうよ。
****************
クスクス・・・。
「ほんと、何なのかなぁ。葵に近づいて・・・。わたしの葵なのに・・・っ。カオルなんてニックネームまでつけて・・・っ」
クスクス・・・。
ーーーー?
なに?この声・・・?ルリの周りから声がする・・・?
でもルリ一人だし・・・。
『手伝ってあげようか?ねぇーーールリちゃん♪』
「へ?」
ルリの頭の中に何かがいる。
確信した。
何かにとりつかれてる。
声がする。
怖い。
どうして?なんで?頭の中から声がするの?なんで聞き取れるの?
『不思議かもしれないけどね・・・でも信じてよ。稟璃海『リリア』はルリちゃんの味方だからね』
味方・・・?
ルリの?
『そう。味方だよっ。ほんとうだよ。難しいよね。ただのルリちゃんの中のもう一人のルリちゃんって考えてよ。どう?簡単じゃない?鏡の向こうに映る自分ーーー。どうかな?』
信じていいの?
そうなの?
鏡の向こうにーーー?
もう一人のルリちゃんーーー。
『さぁ、貴女は何を望む?束縛、愛情、友情、家族愛ーーー消して欲しい、あれがほしい、これがほしい、どこに連れていって欲しい・・・。さぁーーー貴女は稟璃海に何を望むの?なぁんでも稟璃海は叶えてあげるから♪』
もう一人の『ルリちゃん』はリリアーーー稟璃海と言うらしい。
ルリのクローン?それともほんとうに叶えてくれる神様か何か?
ほんとうに・・・?
「ほんとうになんでも叶えてくれるの?稟璃海ちゃんはーーー」
『もっちろん。なぁんでも叶えてくれるよ、稟璃海は』
「信じていいんだよね?稟璃海ちゃんを」
『勿論だよ。信じて?ルリちゃん♪』
うん、わかった。
稟璃海ちゃんを信じてみる。信じてみるくらいはやってみよう。
それでーーーほんとうに願いが叶うなら。
わたしはーーー、ルリは何でもする。
待っててね、葵。
今、悪い魔女から助けてあげるからね。
ルリは高らかに稟璃海ちゃんに言った。
鏡の向こうにいる、稟璃海ちゃんに。
決めたよ、ルリ。
稟璃海ちゃんへのお願い事・・・。叶えてくれるんでしょ?
じゃあ叶えて見せて。わたしのお願い事を。
さぁよく聞いて、稟璃海ちゃん・・・。
ルリのお願い事をーーーーー。
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「赤城美嘉を消して欲しい」
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『ふふ。任せてよ。そんな容易いお願い事。ふふっ消してあげる。ルリちゃんのために』