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【ボカロ】君の体温【自己解釈】
作者: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac  (総ページ数: 12ページ)
関連タグ: ボカロ 自己解釈 君の体温 
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10~

*11*

最終話


「俺は、本当に馬鹿だ」
ゆきの外出中、カイトは一人、家ですすり泣いていた。
「未来、俺、本当は」



お前の事が好きだった。


俺、最低だ。
見捨てるように、ちょっとゆきに何か言われただけで。
一方的に別れてしまったんだ。


その時。
インターフォンが鳴った。
「誰だよ、こんなときに…」
ごしごしと涙を服で拭うと、ドアを開けた。


「拓海……!」
一瞬で気持ちが変わった。
拓海には、もうあわせる顔がない。
「ごめん、今、ちょっと」
カイトがドアを閉めようとした。


「待てよ、このままずっと逃げる気かよ」
拓海はグッとドアノブを握った。
「お前は、間違ったことをしてる!」


「俺らは友達なんだから、俺がお前を正しい道に行かせるのは当たり前の事だ!」


拓海は叫んだ。
カイトはそれを聞いて、泣いていた。





* * *

「ただいまー、カイト」
ゆきが帰ってきた。
「あれ、誰か来てるのー?…って!西川!何で居んの!?」


ゆきが居間に向かうと、カイトと拓海が普通にくつろいでいた。
「あぁ、ゆき、おかえり。ちょっと、話があるんだ」
拓海が、何かあったらアシストするからと言ってくれた。
それだけで、カイトは十分だった。


「俺と、別れて」


ゆきは泣きわめいたり殴りかかろうとしてきたが、拓海が上手くなだめていた。
時間はかかったが、ゆきは荷物をまとめるとさっさと出ていった。








そして、それから一年の月日が立った。
俺は引っ越しをした。
未来のCDとギターだけを持って、後は自分の家具も服も全部捨てた。
金はかかるが、気持ちを切り替えたかった。


ゆきとは極力会わないように、もし会っても目を合わせないようにしている。
拓海とは話す回数は減ったが、気が向くと一緒に飯を食っていたりする。


俺は、作詞作曲を学び始めた。
未来のギターを、何か活かしたかった。
そしてついに今日、一つの曲が出来た。


君に贈る、最初で最後の歌。
曲名は、君の体温。








Fin

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