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優樹
作者: 優樹の青い花  (総ページ数: 6ページ)
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*2*

さっきまで元気に泣いていた息子は、自分の腕のなかでスースーと寝息をたてながら眠っていた。
その姿に、美由子は鼻の奥がツーンとした。また涙が溢れそうになる。
出産の時に、泣きながら手を握って励ましてくれた夫の幸也は、しばらく前に、涙でグショグショの顔のまま、なにか思い出したように病室を出ていった。
なにか考えがあるようだったので、美由子は黙って見送った。
ーでも、今いないのはちょっと寂しいかも。
「はやく戻ってこないかな......」
美由子が呟くと、ドタバタと足音が聞こえてきた。
ーガラッ
白い扉が、勢いよく横に滑る。
「美由子ぉー!!ごめんごめん!!」
幸也が慌てて駆け込んできた。

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