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*36*
視線の先にあったもの。
それは、姉さんと翔太さんだった。
否、姉さんが階段から落ちていくところだった。
姉さんが落ちていくのがとてもスローモーションに見える。
姉さんと一瞬だけ目が合う。その時、私はとっさに叫んでいた。
『…っ姉さんっっ!!』
次の瞬間、ある程度硬度のあるモノが床に叩きつけられる音がする。
私は部屋を飛び出し、翔太さんを押しのけて、姉さんのそばへ駆け寄った。
頭からは信じられないくらいの血液が流れ出していた。
こういう時は動かしてはいけないと聞いた気がする。
どうしようどうしようどうしようどうしよう…!?
姉さんが死んじゃう。家族がいなくなっちゃう。
独りぼっちに―…なっちゃう。
「姉さん…」
自然と、私の手が姉さんに伸びていく。あと、数センチ、というところで私の手は誰かの手によって阻まれた
「…舞…」
舞は私の手を握りしめてきた。
「さえかさん、落ち着いてください。救急車を呼んだので、もうすぐ来ると思います」
「舞…」
私は舞にすがりついた。
舞は病院までずっと付き添ってくれた。
舞はずっと私を励ましてくれた。
翔太さんは青い顔でずっと立ち尽くしていた。
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