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*6*
義母が死んだのだ。
がんだったという。
私達は泣いた。悲しかった。寂しかった。
行き場のないこの感情は一体どこに捨てればいいのだろう?
15にもなったのに、まるで赤子のように泣いている私を姉さんは硝子細工でも扱うかのようにそっと優しく抱きしめて、震える声で私に語りかけた。
「大丈夫よ、さえか。私は、ここにいるから」
涙が、さらにあふれ出てくる。
「あのね、さえか。よく聞いて?私達、たった2人になってしまったけれど、
お義母さんがね。私達のために貯金をしていてくれたの。
お義母さんはきっとがんのこと…知っていたのね…。
フフ、貯金なんかする前に私達に一言病気のこと話してくれればよかったの
にね?」
姉さんの嗚咽が聞こえる。やはくりどんなに気丈にふるまっていたとしても、
ツライものはツライのだろう。私は、姉さんを抱きしめ返した。
姉さんは、ふぅ、と呼吸を整えてからまた、ポツリポツリと話し始めた。
「それでね、私達はここで2人で暮らすのよ」
私達はただコクコクと首を縦に振った。
それから、私と姉さんは2人でくらしはじめた。
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