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*2*
「その3」になります。
れんげが家に帰ると一穂が既に研修の荷物準備などで珍しく忙しくしていた。
一穂「おっ、れんちょんおかえり〜。ちゃんと挨拶してこれたか〜。」
れんげ「挨拶してきたん。」
一穂「はいコレ。れんちょんの着替えとか歯ブラシとか向こうで使うの揃えておいたかんね。ちゃんと忘れずにカバンに入れておくこと。」
れんげは特に何も言わずに受け取った。
一穂「どーしたれんちょん?やっぱねーちゃん達がおらんのが寂しいんだろー」
一穂は少し笑って言ってみたが、
「別に寂しくはないん。」
とれんげは言い返した。だが、どこかれんげにはいつものような元気が無い。
一穂はやはりどこかれんげが無理しているんじゃないかと思い、こう言った。
一穂「れんちょんなら大丈夫だよ、ねーちゃんたちがいなくたって、夏海たちと遊んだりしてれば寂しさなんて吹っ飛んじゃうよ。」
しかし今度は、
れんげ「ウチ、何度も言ってるように寂しいわけじゃないん。でもウチ、なっつんやこまちゃんたちの家の子でもないん。もしかしたら、ウチ、お邪魔虫なん。」と言った。すると一穂は笑った。
一穂「あはは〜ないない。れんちょん、そんなこと気にしてたんかい。ねーちゃんてっきりれんちょんが寂しいのを無理に我慢してんのかと思ってたよ。」
れんげ「でもウチ、ナントカが合わないってよく言われてるん。」
一穂「え〜っと、感性のことかな〜。そんなの関係ないよ。確かにれんちょんには独特のセンスがあったりするけどさ、別に悪いことじゃないし。それに本当にれんちょんが『お邪魔虫』とかだったら学校でだって夏海たちはどこかでれんちょんに冷たくしてたりすると思うけどなあ。どうだい、姉ちゃんには、夏海たちがそんな風にれんちょんを思っていないって見えてるけどなあ。」
れんげは一穂にそう言われると考えてみた。確かに学校で夏海たちに冷たくされたことなんてない。みんな自分の事を何かあってもなくても優しく見守ってくれていた。
れんげ「みんな、そんなんじゃないん。いつだって優しいん!」
れんげは少し元気を取り戻したのか、次にはそう答えていた。
一穂「だろぅ。姉ちゃんの言った通りだったろ。」
一穂は得意げに言ってみた。
れんげ「ウチ、なっつんやこまちゃんと姉妹じゃないのが心配だったのん。姉妹じゃないと本当の本当の仲良しにはなれない気もしてきていたのん。」
一穂「そうかい。そんなことがねえ・・・。」
れんげ「でも、やっぱり明日、ちゃんとお泊りしてくるん!そんで元気なお顔、帰ってきた姉ねえにも見せるん!」
一穂「おうおう。れんちょん元気になってきたなぁ。良かった良かった。そんじゃ、楽しいお泊り会になるといいね。きっとなるだろうけど。」
一穂がそう言うと、れんげは大きくうなづき、早めにお泊りの準備をしに部屋に走っていった。 一穂は思いがけずに研修の時に役に立つかもしれない知識をれんげからもらった気がした。それは、「年の差があっても、家族じゃなくても、関係なく人は仲良くできる。」ということだった。 一穂はクスりと笑うと、また研修のための荷物まとめの続きに取り掛かった。
「その4」に続きます。