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8月2日。【赤葦×菅原】
作者: 大和 撫  (総ページ数: 17ページ)
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10~

*11*

それからも ぬるま湯みたいな日々は続いた
あの日から、一つだけ。気付いたことがある。





記憶が消えていってるのだ。 今まで気づかなかっただけで、自分が死んだ日からぽつぽつと消えていた。 どうしてこうも大事な事に気付けないのだろうか 今までの自分にも今の自分にも腹が立つ。もう自分の死に姿を見た日や葬式の日の事はあとかたもなく消えている。最後に覚えているのはいつだっただろうか。 もう思い出すことすら億劫になる。
(このまま、いつかあなたの事も忘れるのかな。)
初めてここに来てあなたに合った日から
随分とたった。自分が高校の時に伝えられなかった分の好意はきっと伝えられた。 十分だ。 そろそろ別れが近づいて来てることには
気づいていた












『無理だ。』

駄目だ。まだ消えたくない。まだ、無理なんだ。 泣きそうになるのを堪える
あぁ、そばに居るんじゃなかった。あのまますぐに消えるべきだった。好きだ。菅原さんの事が好きだ。好きで好きでたまらない。
『好き...なんだ。菅原さん。好きです。大好きです。本当は諦めてなんかいなかった。
今でも、ずっと 好きだったんだ』
嫌だ、消えたくない。忘れたくない
でもだめだ。だめなんだ。 だって俺は死んだから。もうここには居てはいけない


『なんで。なんで俺は』


こんなことになるなら
死にたくなかった。

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