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8月2日。【赤葦×菅原】
作者: 大和 撫  (総ページ数: 17ページ)
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10~

*15*

8月2日
あいつが死んでから四十八日、あいつがいなくなってから十日が経った。今日で四十九日目。明日になる前にきっと彼は消えてしまう。


ここは、俺達が恋に落ちた場所。


「お前って真面目なくせして、ほんっと
馬鹿だよな。」
耐えきれず、泣き出した。
「なんで......なんで......ここに、いるんだよ.....」
俺の目の前には、紛れもなく。赤葦がいた
『俺の事が見えてるんですか』
驚いたように言う。
「見えてるに決まってるだろ......っ。ずっと、見えてたよ。あの時お前を見つけた時からずっと。」
『...じゃあ、どうして、』
「だって、お前。俺と居たら成仏できないだろ」
『菅原さん...』
「片想いだったんだよ。ここで好きになってから、ずっとお前のそばにいてやりたかった。」
『俺も......一目惚れだったんです。あなたの笑顔が忘れられなかった。』
触れられない右手であなたに触れる。


自嘲気味に笑った
「なぁ、なんで俺達すれ違っちゃったんだろうなあ。言おうとしてれば、全部言えたのに。 」
もうすぐ夜が明ける。
『......ごめんなさい。もう、思い出せないんです。記憶がどんどん消えていって、忘れて、もう昨日の事は思い出せない。自分の事も何もかもわからなくなって、気づいたらここに来てたんです。それで、あなたと目が合った瞬間、あなたの事を思い出せた。』

『なのに、なんで......あなたの事が、わからない。』
あんなに好きだったのに。どうして
そして、あなたは目を真っ赤に腫らしていった。

「気にしないで。」

「いつかまた、会えるって俺は信じてるから。だから、気にしないで。」
『菅原さん...っ。菅原さん......っ』
涙が止まらない。 きっともう、これで最後のはずなのに、涙でぼやけてうまくあなたが見えない。
「今度はちゃんと、生きてるうちに全部言わせて。」


最後に彼は笑った。


「赤葦。好きだよ」


『菅原さん。好きです。』

これが、最後の記憶となった。

さようなら。 またどこかで。

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